其の肆（八左ヱ門視点） ページ45
「そうだったんだ。一緒に捜そうか？」
「ヒエッ！？と、とんでもない！！Aさんのお手を煩わせるまでもありませんよ！！何たってこの私は教科の成績が一番なら実技の成績も一番の優秀な男ですから！！三之助の行きそうな場所の目星くらい幾つかついております！！」
また俺は怖い顔をしていただろうか？滝夜叉丸の悲鳴が聞こえたような気がしたが。
「そう？何かあったら言ってね。しばらくはここに居るから」
「いえいえ！！そんな恐れ多い！！私はもうこちらへは寄りませんのでどうぞ心置きなく続きをなさって下さい！！」
「続きって？あっ、滝！？」
Aの質問は聞こえていたと思うが、それには聞こえないふりをして近くの木の下まで走り、枝に飛び上がって姿を消した。草丈があるから直接的には見えていないだろうが、何をしていたかは予測くらいはついたのだろう。
「大丈夫かな…遠くに行ってないといいけど」
Aは優しいから三之助を探すのを手伝いたかっただろうが、さすがに残り少ない逢瀬を方向音痴の後輩の為に使いたくはない、と思うのは先輩として薄情だろうか。
「ご、ごめん！八左ヱ門との二人きりの時間を大事に思ってない訳じゃないんだよ！？」
突然Aが慌てて取り繕った。
「あー、俺そんな酷い顔してた？」
「何だか寂しそうだったから」
「三之助の方向音痴は全く気にならない訳じゃないが、日常茶飯だから大丈夫かと思って。何より今日はAを独り占めしたい気分だったんだ…」
「もうすぐだもんね」
それは勿論、別れの日のことを言っている。
「そうだな…」
「って、しんみりしちゃった！蝶見ようよ！ほら、この蝶小さくて可愛い！」
たまたま近くを漂ってきた蝶を指差した。
「これはヤマトシジミっていうんだ。これは雌だけど、雄は翅が青みがかっていて綺麗なんだよ」
Aは目を輝かせて“見てみたい”と言うので、これはもう生物委員会委員長代理としても恋仲としても何としても見つけて見せてやりたい！！
切なさなんて吹っ飛んで、とにかく俺はヤマトシジミの雄捜しに集中した。
「い、いた！Aー！いたぞ！」
幸いにも珍しい蝶ではなかったので四半刻ほどで見つかった。
「本当だ、青い…！」
(ふぅーっ！これで生物委員会委員長代理としての威信を守れたかな！)
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玉虫厨子(プロフ) - 麗羅さん» わー！一気読みありがとうございます！ 私もどんなエンドを迎えるのか言いたくてうずうずしてしまいます笑 (2月14日 20時) (
レス) id: 9682a1978c (このIDを非表示/違反報告)
麗羅(プロフ) - すごく面白くて、一気に読んでしまいました！どうなってしまうんでしょうか…。ハッピーエンドじゃなかったら悲しすぎる！笑 (2月14日 10時) (レス) id: 06bc0a6cee (このIDを非表示/違反報告)
玉虫厨子(プロフ) - Maさん» いつもありがとうございます💓楽しんで頂けて何よりです！ (2月13日 22時) (レス) id: 9682a1978c (このIDを非表示/違反報告)
玉虫厨子(プロフ) - ねこさん» コメントありがとうございます🙇夢中とのことで嬉しいです！どのような結末にするかは決めているので、メッセージで質問頂けたらお答えできます！ (2月13日 22時) (レス) id: 9682a1978c (このIDを非表示/違反報告)
Ma - 鬱展開なのか...それとも...んでも！！めちゃおもろいです！ (2月13日 22時) (レス) id: 8c9f415f7b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：玉虫厨子 | 作成日時：2024年2月2日 21時
