無意識下の自分の段 ページ31
鼻にツンと来る薬草の匂いがして目が覚めた。忍術学園の医務室の匂いだ、と気付くのと同時に伊作君が顔を覗き込んだ。
「あっ、気が付いた！？」
伊作君のその声に八左ヱ門や六年生達も互いを押し合いながら顔を見せた。
「自分の名前言えるかい？」
「え？A……」
「うん、そうだね。じゃあ僕達の名前は？」
「伊作君に八左ヱ門、仙蔵、小平太、文次郎君、留三郎でしょ。何言ってるの…」
「うわあああ元に戻ったああああ！！」
「ん！？」
八左ヱ門が私のお腹に覆い被さっておいおいと泣き始めた。状況が分からないけれど私が医務室に寝かされていて皆が集まっているってことは何かしら心配させることがあったのだろう。……何したんだ私！？
心なしかいつもよりボサボサしている八左ヱ門の頭を撫でる。
「よしよし…私は大丈夫だよ。この通りピンピンしてる！今から校庭三周走ってこようか！？」
「馬鹿……Aの馬鹿ぁ」
「ええ…」
八左ヱ門が人目も憚らずこの状態って、何があった！？
「Aちゃん、今日の出来事どこまで覚えてる？」
「今日は気付いたら喜八郎と小屋に居て、小屋の外に出たらヤダ森の中じゃない！？ってびっくりして、その時鳶が飛んでって……その後何があったっけ……？」
「やっぱりあの時の記憶は無いみたいだね」
そこから何があったかを聞かされて大変驚いた。
「錯乱状態で抜き身の刀を振り回した挙句、自分で頸を斬ろうとした！？私が！？」
何それ……めちゃくちゃヤバい奴じゃないの私……。自分のした事にドン引きだわ……。そりゃ恋仲泣かせるわ……。
「いやー本当迷惑掛けてごめんなさい…それを本人が覚えてないとかタチ悪すぎだよね…！皆は怪我してない！？」
「うん、誰も怪我一つしてないよ」
「良かったー！」
「ほら、お前も何か言うことがあるだろう…」
ふと滝の声がして辺りを見渡すと、六年生の背中に隠れるようにして滝と喜八郎が居た。
「あれ、居たんだ！？二人にも迷惑掛けてしまったかな？ごめんね…！」
すると喜八郎が一番前に進み出て、小さくなって座った。
「謝るべきは僕です。勝手に連れ去って、薬の副作用で危うく死なせるところでした。本当にすみません」
あの園田村の痛み止めの副作用で錯乱したのか。
そう言えばこの時代は危険ドラッグになりそうな植物もまだ規制されていないんだろうな。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 37人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
玉虫厨子(プロフ) - 麗羅さん» わー！一気読みありがとうございます！ 私もどんなエンドを迎えるのか言いたくてうずうずしてしまいます笑 (2月14日 20時) (
レス) id: 9682a1978c (このIDを非表示/違反報告)
麗羅(プロフ) - すごく面白くて、一気に読んでしまいました！どうなってしまうんでしょうか…。ハッピーエンドじゃなかったら悲しすぎる！笑 (2月14日 10時) (レス) id: 06bc0a6cee (このIDを非表示/違反報告)
玉虫厨子(プロフ) - Maさん» いつもありがとうございます💓楽しんで頂けて何よりです！ (2月13日 22時) (レス) id: 9682a1978c (このIDを非表示/違反報告)
玉虫厨子(プロフ) - ねこさん» コメントありがとうございます🙇夢中とのことで嬉しいです！どのような結末にするかは決めているので、メッセージで質問頂けたらお答えできます！ (2月13日 22時) (レス) id: 9682a1978c (このIDを非表示/違反報告)
Ma - 鬱展開なのか...それとも...んでも！！めちゃおもろいです！ (2月13日 22時) (レス) id: 8c9f415f7b (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：玉虫厨子 | 作成日時：2024年2月2日 21時
