其の弐（八左ヱ門視点） ページ22
「ははっ、一緒くたか！そりゃ皆もAと会えて嬉しいだろうな。俺が死んで魂だけになったら此処へ戻って来るよ。それでAが来るのをずっと待ってる」
「忍術学園の跡地を見つけられなかったらごめんね」
「そしたらあの世でAの魂を探すから大丈夫だ」
「ふふ。死んだら一緒になれるね…。そう考えたら未来へ帰るのに少し勇気が出てきた。ありがとう」
こんな俺に感謝なんてするな。
未来へ帰るべき、と言えば聞こえはいいが、死ね、殺してやると言っているのと同義だ。
予め殺されるのが分かっている彼女の恐怖はいかほどだろうか。たとえそれが一瞬の出来事であったとしても痛いだろう。苦しいだろう。不安だろう。
「でも、ちゃっかりこの世で奥さんになった人とあの世でも一緒に居たりして！」
「俺は生涯結婚しない。どうしたってAと比べてしまうだろうし。A以上に魅力的な女子はこの世にはいないよ」
「いやいや、まだ十四でしょ。これからたくさん出会いがあるよ。私が未来で八左ヱ門の子孫と結ばれるかもしれないよ？」
「………それは子孫に嫉妬するなぁ」
「あっはは！」
「そういうAこそ結婚しろよ。俺より背の高い奴と」
「何それ、背の高さ関係ないでしょ」
いいや、ある。
恋仲なって日は浅いが、何度か同じ夢を見た。
Aが未来に帰って、男と親しげにしている夢だ。そいつは顔は出て来ないが、短髪で俺より頭一つ分も上背のある奴だった。
夢の中のAは、不安や不満など微塵も感じさせない顔で笑い、客観的に見ても俺と居る時よりも幸せそうで、起床後は毎回その男に嫉妬してしまう程だ。
初めは未来へ帰って欲しくないという思いがそんな夢を見せるのだと思っていた。しかし中在家先輩の未来人の手記の話を聞いて、これは神仏の類が見せた予知夢だったんじゃないかと、そんな風に思った。
漆喰とは違う白い壁、天井には白い光を放つ明かり、揃いの白い上衣を身につけて寄り添う二人。あれは未来……Aの居た“令和”という時代の光景に違いない。
「身長気にする理由がよく分からないけど、八左ヱ門が結婚しないなら私もしない」
「っだめだ！それじゃあ未来へ帰す意味が──」
「A、今いいか？」
話の途中で部屋の外から声が掛かった。この声は立花先輩だ。
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玉虫厨子(プロフ) - 麗羅さん» わー！一気読みありがとうございます！ 私もどんなエンドを迎えるのか言いたくてうずうずしてしまいます笑 (2月14日 20時) (
レス) id: 9682a1978c (このIDを非表示/違反報告)
麗羅(プロフ) - すごく面白くて、一気に読んでしまいました！どうなってしまうんでしょうか…。ハッピーエンドじゃなかったら悲しすぎる！笑 (2月14日 10時) (レス) id: 06bc0a6cee (このIDを非表示/違反報告)
玉虫厨子(プロフ) - Maさん» いつもありがとうございます💓楽しんで頂けて何よりです！ (2月13日 22時) (レス) id: 9682a1978c (このIDを非表示/違反報告)
玉虫厨子(プロフ) - ねこさん» コメントありがとうございます🙇夢中とのことで嬉しいです！どのような結末にするかは決めているので、メッセージで質問頂けたらお答えできます！ (2月13日 22時) (レス) id: 9682a1978c (このIDを非表示/違反報告)
Ma - 鬱展開なのか...それとも...んでも！！めちゃおもろいです！ (2月13日 22時) (レス) id: 8c9f415f7b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：玉虫厨子 | 作成日時：2024年2月2日 21時
