其の弐 ページ19
そんな。方法が見つかったからはいさようならって。こんなにあっさり手放せるなら、簡単に恋仲になろうなんて言わないで欲しかった。
「どうして未来へ帰すことにこだわるの？私のことを待っている人なんて誰も居ないかもしれないのに。居たとしても私の記憶は失ったままかもしれないのに」
私のことを世界一可愛いと思っているんなら、未来の奴には絶対渡さないみたいな気概を見せてよ。
「理由は一つじゃないけど、上手く説明出来ないんだ。ただ帰した方がいい、帰さなきゃならない、俺の隣に置いてちゃだめだって胸騒ぎがするし、Aは未来に帰れば幸せになれるっていう謎の確信もある。
こんな訳わからない理由でごめん」
それを聞いて一縷の望みも絶たれた気がした。
要領を得ない説明、変な思い込み。もう聞いていたくない。
仮に八左ヱ門と一緒に居たいと本音を言ってこの時代に居続けたとしても、彼に「だめだ」と思われたままだったらこんな苦しいことはない。それならやっぱり、八左ヱ門の意見を尊重して未来へ帰るしかないのかな。
「生物委員会委員長代理の虫の知らせはよく当たりそうだね。
八左ヱ門とは別れるよ。でも、別れるのは私が未来へ帰る日の朝。それまではちゃんと恋仲で居てよね……」
「…うん、分かった」
死ぬ前に別れておくのは、八左ヱ門のこれからの恋路に支障を来さないため。いつか素敵なお嫁さんを貰えるように。面倒見のいい彼のことだから、きっと子煩悩のいいお父さんになるんだろうな。
そんなしなくてもいい妄想にずっと堪えてきた涙がほろほろと溢れた。咄嗟に後ろを向いたけれど、八左ヱ門には見られてしまった。
「ごめん。本当にごめんな……」
背後から抱き締めるその腕にさほど力が入っていなくて、それが一層辛かった。でもこれくらいが逆にいいかもしれない。どうせ帰らなきゃいけないなら、中途半端に優しくされたら離れ難くなってしまうだろうから。
「……さっきの話し合いで、Aを殺す方法、俺が頸を斬ることになったから」
「……そうなんだ、痛そう」
「痛いのは一瞬で済むようにするからな。ちゃんと即死させてやる。絶対に大切な人の元へ帰してやる」
「だから、そんな人が居るかどうかも分からないのに」
「もし居なかったとしても、今後必ず出逢うから。Aは魅力的なんだから皆放っとかない」
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玉虫厨子(プロフ) - 麗羅さん» わー！一気読みありがとうございます！ 私もどんなエンドを迎えるのか言いたくてうずうずしてしまいます笑 (2月14日 20時) (
レス) id: 9682a1978c (このIDを非表示/違反報告)
麗羅(プロフ) - すごく面白くて、一気に読んでしまいました！どうなってしまうんでしょうか…。ハッピーエンドじゃなかったら悲しすぎる！笑 (2月14日 10時) (レス) id: 06bc0a6cee (このIDを非表示/違反報告)
玉虫厨子(プロフ) - Maさん» いつもありがとうございます💓楽しんで頂けて何よりです！ (2月13日 22時) (レス) id: 9682a1978c (このIDを非表示/違反報告)
玉虫厨子(プロフ) - ねこさん» コメントありがとうございます🙇夢中とのことで嬉しいです！どのような結末にするかは決めているので、メッセージで質問頂けたらお答えできます！ (2月13日 22時) (レス) id: 9682a1978c (このIDを非表示/違反報告)
Ma - 鬱展開なのか...それとも...んでも！！めちゃおもろいです！ (2月13日 22時) (レス) id: 8c9f415f7b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：玉虫厨子 | 作成日時：2024年2月2日 21時
