其の伍 ページ12
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1919年 小生、この世に誕生
1930年 第一回FIFAワールドカップ開催
1932年 チャールズ・チャップリン来日
1939年 ドイツがポーランドに侵攻、第二次世界大戦勃発
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この人は二十代の時、第二次世界大戦中に別の国で日本兵として戦闘中に亡くなって過去へやって来たらしいが、どこの国であるかと死因については記憶にないらしい。
京郊外で気が付いたが身体は至って健康で清潔、死ぬ少し前に負った小傷や塹壕足はすっかり治っていたとの事。その時にどこかの将が通り掛かり、過去に飛ばされた事を認識。将がその人のヘルメットを“羽根のように軽い兜”だと絶賛し、その他ブーツやベルト、革の小物入れなども含めて高値で買い取ってもらい、それを元手にその時代での生活基盤を整えていったという体験も書かれていた。
「随分と読み込んでいるようだが書かれている意味が分かるのか？」
三郎が書物と私の顔を交互に見て言う。
「うん。この人のいた時代のことが書かれてた。私はこの人よりも九十年ほど後の生まれだから書かれていることは全て理解できたし、確かに未来人でなければ書けない内容だった。
自分以外の未来人へ選択肢の一つになればとこれを書いたそうだよ」
「じゃあ、本当に未来人が…」
「この時代で生きていくしかなかったが、未来へと帰れるようになった。お前はどうしたい？」
やっとこちらに話が振られた。私が帰らないと一言言えばこの重苦しい空気もなくなるだろう。
「私は──…」
帰らないと言いかけた時、私の右隣で何も発言せずじっと座っていた八左ヱ門が強く拳を握り締めたのが目の端に映ったので思わずそちらへ視線を向けた。それが“八左ヱ門の意見を聞きたい”という意味に捉えられてしまったらしい。
「そうだな、まず竹谷に訊いてみよう」
「俺は、未来へ帰るべきだと思います」
その場が水を打ったように静まった。一瞬、彼が何を言ったのか分からなかった。一拍置いて理解出来たが、言い間違えたのかなと考えた。或いは私の耳が馬鹿になってる。彼に限って、そんな。帰れなんて、言う筈が。ない。ない筈。
「竹谷、今自分で何と言ったか分かるか？」
仙蔵が改めて問う。
「未来へ帰るべき、そう言いました」
彼が真剣な時に見せる、私の大好きな精悍な顔立ちで、はっきりとその言葉が復唱された。
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玉虫厨子(プロフ) - 麗羅さん» わー！一気読みありがとうございます！ 私もどんなエンドを迎えるのか言いたくてうずうずしてしまいます笑 (2月14日 20時) (
レス) id: 9682a1978c (このIDを非表示/違反報告)
麗羅(プロフ) - すごく面白くて、一気に読んでしまいました！どうなってしまうんでしょうか…。ハッピーエンドじゃなかったら悲しすぎる！笑 (2月14日 10時) (レス) id: 06bc0a6cee (このIDを非表示/違反報告)
玉虫厨子(プロフ) - Maさん» いつもありがとうございます💓楽しんで頂けて何よりです！ (2月13日 22時) (レス) id: 9682a1978c (このIDを非表示/違反報告)
玉虫厨子(プロフ) - ねこさん» コメントありがとうございます🙇夢中とのことで嬉しいです！どのような結末にするかは決めているので、メッセージで質問頂けたらお答えできます！ (2月13日 22時) (レス) id: 9682a1978c (このIDを非表示/違反報告)
Ma - 鬱展開なのか...それとも...んでも！！めちゃおもろいです！ (2月13日 22時) (レス) id: 8c9f415f7b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：玉虫厨子 | 作成日時：2024年2月2日 21時
