其の参(利吉視点) ページ8
私の知らないAさんの新しい一面だ…!
煽ってくるAさんもいい。胸元は膝上からだから全く見えなくて全然色仕掛けになってないけどそんな抜けたところもいい!
「下からじゃ何も見えないのだけが残念ですね」
「…なっ!?そうか……!」
Aさんはとても勇気を出して色仕掛けをしていたようで、恥じらいのあまり手で顔を覆ってしまった。うんうん、いつものAさんもいい。
私はAさんの膝から退いた。
「意地悪してすみません。とっても可愛らしかったですよ」
「表情作って頑張ったのに……何も効果無いなんて悔しい……やはり私に色仕掛けは向いていないようです……」
「私としては向いてない方が安心ですけど」
「それでは私ばかりドキドキして悔しいです」
そんな事ない。膝枕で私の鼓動は早くなったし。でもそれを伝えるより先にAさんは正面から向き合い、私の後頭部に手を回してきた。
「決めた。今から利吉さんをドキドキさせます」
ドキドキさせられっぱなしが相当嫌だったのか、私を床に押し倒し、鳩尾の上辺りに跨ると、首筋に手を添えた。
「ま、待ってAさん!一体何をするつもりですか!?」
するとAさんは人格が入れ替わったように余裕のある表情でフフ、と笑った。
「心配しなくとも、何もしませんよ。それとも何か期待してます?」
かっ、完全にAさんのペースだ……!
「利吉さん。私のこと、お好きですか…?」
「も、勿論……好きです」
「フフ……顔真っ赤。包帯越しに伝わる脈もこんなに速い」
Aさんは私の中ではどちらかと言えば可愛らしい部類で、こんな大胆で艶かしい彼女を私は知らない。知ったばかりだが既に大好きだから問題はない。
「ええ、そりゃあ急に色気を出されて驚きましたし……」
すると今度はいつものAさんのように。
「色気感じましたか!?私の勝ちですね!!」
「いや、いつの間に勝負になってたの!?」
何の未練もなく私の上から退くと、上機嫌で戸口に立った。
「それじゃあ、お休みなさい!」
嘘でしょ、終わり!?あそこで止められて大人しく仮眠できる男いると思う?
というか、押し倒されてAさんに指一本触れなかった私を誰か褒めて……。
「はぁ〜〜〜〜、本当けしからん……」
元はと言えば私が意地悪したのが悪いのかも知れないけど、あんなのもっと好きになってしまうじゃないか。
こうなったら絶対私の妻にしてやるから。
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玉虫厨子(プロフ) - コトハさん» こちらこそ最後までお読み頂きありがとうございます!鉢屋とのやり取りを気に入って頂けて嬉しいです☺️鉢屋はどうしても書きたいシーンが一つあるので、いつかルートで書けたらなぁと思っています。応援ありがとうございます!! (12月30日 7時) (レス) id: 9682a1978c (このIDを非表示/違反報告)
玉虫厨子(プロフ) - ちーさん» とうとう終わりました!連載中は何度もコメントくださりありがとうございました😊そしてこれからも末長く宜しくお願い致します🙇 (12月30日 7時) (レス) id: 9682a1978c (このIDを非表示/違反報告)
コトハ(プロフ) - キャラ皆んな魅力的ですが三郎と主人公ちゃんのやりとりが特に好きだったのでいつの日か三郎のお話も読めると嬉しいです、玉虫様のご無理のないペースでこれからも楽しみに応援しています。長々とすみません (12月30日 6時) (レス) id: 97fc43e259 (このIDを非表示/違反報告)
コトハ(プロフ) - 共通章完結おめでとうございます! 素敵なお話をいつもありがとうございます! 作品を読みながらこのキャラとのルートはあるかなっとドキドキしながら想像するのも楽しかったのでこれからキャラ達とどんなルートのお話が読めるのか楽しみです! (12月30日 6時) (レス) id: 97fc43e259 (このIDを非表示/違反報告)
ちー - とうとう共通話が終わったんですね!各キャラの分岐の話も楽しみにしています。最後まで愛読させていただきます! (12月29日 22時) (レス) id: 88a0bb30f3 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:玉虫厨子 | 作成日時:2023年12月10日 16時