其の肆(利吉視点) ページ5
一応その辺の報告は軽く北石君から受けていた。
「最初はこの中に着る網々の布や身体の形がよく分かる設計が恥ずかしいって思ってたんですが、今はとても気に入っているんです!色合いも大好きです」
うん。確かにぴったりしていて女性らしい流線美が浮き彫りになった。小袖を贈った身としては普段からもっと着て欲しいが、この装束姿も捨て難い。
「とても似合っていますよ。紅を点すようになったんですね」
「はい。仙蔵に贈ってもらったんですが、これがまた綺麗ないい色なんですよ!」
立花仙蔵が紅をね……。
きっと多くの人間が贈り物作戦をやっているだろうし、そうなると私の贈った小袖も霞んでしまうな。出し抜く新たな方法を模索しないとなぁ。
そう言えば、北石君が気になることを言っていたのをふと思い出した。
「次にAちゃんに会ったら“また忍たまを落とす方法が知りたくなったらいつでも連絡して”って伝えておいて!」
何となくその場で聞きそびれて、悶々としていたのだ。
「ねえ。北石くんから何か教わったりしました?」
するとAさんはほんのりと頰を染めて頷いた。
「何を、教わったの…?」
「言いにくいのですが……色仕掛けというやつを……」
頭に印字打ちを食らったかのような衝撃が襲う。
「………そう。君は忍たまの誰かを好いているのか」
「えっ?いえ別に?」
「は?じゃあどうして色仕掛けなんて…」
「それは…年頃なんだから忍たまと恋をしなさいと言われ、出会った上級生に実際に仕掛けるという実践経験を積まされて……」
ああ、なんだ。北石君が紛らわしい言い方をしただけか。
……いや待て。聞き捨てならない事を言ったな!?
「上級生に実際に仕掛けたって!?」
「は、はい。いずれも失敗しましたが。北石さんには“あなたは色仕掛けに向いてない”って言われました」
「へえ、そう。どんな風に仕掛けたんです?」
「暑いですねって言いながら襟を掴んで胸元をパタパタ扇ぐというものですね…」
「ふうん。それ、金輪際やらないで」
「ヒィッ! わ、分かりました…!!」
Aさんは私の顔を見て小さく悲鳴を上げて返事をした。
私、そんなに恐ろしい顔をしていたかな?
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玉虫厨子(プロフ) - コトハさん» こちらこそ最後までお読み頂きありがとうございます!鉢屋とのやり取りを気に入って頂けて嬉しいです☺️鉢屋はどうしても書きたいシーンが一つあるので、いつかルートで書けたらなぁと思っています。応援ありがとうございます!! (12月30日 7時) (レス) id: 9682a1978c (このIDを非表示/違反報告)
玉虫厨子(プロフ) - ちーさん» とうとう終わりました!連載中は何度もコメントくださりありがとうございました😊そしてこれからも末長く宜しくお願い致します🙇 (12月30日 7時) (レス) id: 9682a1978c (このIDを非表示/違反報告)
コトハ(プロフ) - キャラ皆んな魅力的ですが三郎と主人公ちゃんのやりとりが特に好きだったのでいつの日か三郎のお話も読めると嬉しいです、玉虫様のご無理のないペースでこれからも楽しみに応援しています。長々とすみません (12月30日 6時) (レス) id: 97fc43e259 (このIDを非表示/違反報告)
コトハ(プロフ) - 共通章完結おめでとうございます! 素敵なお話をいつもありがとうございます! 作品を読みながらこのキャラとのルートはあるかなっとドキドキしながら想像するのも楽しかったのでこれからキャラ達とどんなルートのお話が読めるのか楽しみです! (12月30日 6時) (レス) id: 97fc43e259 (このIDを非表示/違反報告)
ちー - とうとう共通話が終わったんですね!各キャラの分岐の話も楽しみにしています。最後まで愛読させていただきます! (12月29日 22時) (レス) id: 88a0bb30f3 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:玉虫厨子 | 作成日時:2023年12月10日 16時