さよなら忍術学園の段(留三郎視点) ページ18
「…留三郎はこの話、どう思う……?」
「お、俺!?」
全員の視線がこちらへ向かう。
(どうして俺に振る!?こんなの否定的な事言えばこの二人から恨まれるだろ!)
抗議の意を込めて睨み返したが、Aは寂しそうに笑った。
「私、そろそろ忍術学園から出た方がいいかな……?」
「え……」
ちくりと胸が痛んだ。
「当然のようにこれからも忍術学園にお世話になるつもりでいたけど、いつまでもおんぶに抱っこって訳にもいかないよね。自立をするいい機会かなって。もちろんその選択肢は佐武村だけじゃない。最寄りの町だったり、兵庫水軍や加藤村だってある」
「…いや……そんなの、俺がどうこう言える事じゃねえだろ。お前の人生なんだから……」
出て行くなって言うのも無責任な話だ。Aのその後の人生全部面倒見るって気概が無いと、ただ俺の希望を言うだけじゃAの足枷になるんじゃないか?
「あは……そうだよねえ……留三郎に訊くのはダメだよね。私が決めないとね」
あ、これ返答間違えたか……?突き放したように聞こえたか?
「色々な道を考えてみたいと思います。佐武村に行きたくなった時は、文を出します」
二人に深く頭を下げ、誰かが何か言葉を発する前にAは足早にその場を立ち去った。
「あっおい!……失礼します!」
慌ててAを追うが、手潟さんの庭を出た後は全力疾走で森に突っ込んでいった。俺が腕を掴んでようやく止まった。
「おい、危ねえだろ!!森はタソガレドキ対策で文次郎達が罠を仕掛けてるかもしれねえんだぞ!!もし穴があったらどうする!?釣押しや脛払いがあったら無傷じゃ済まねえぞ!!」
「……ごめん」
「急に走り出してどうした?俺の伝え方が悪かったか?」
「違うよ。近いうち忍術学園を去るかもと思ったら寂しくなっただけ」
「だったらずっと居たらいいだろ?」
「ずっとはさすがに迷惑だよ……いつかは出なきゃとは思ってたから。そうだ、冬になったら出ようかな?そしたら皆とのお別れも時間かけて出来るし!」
泣きそうな顔して無理に笑ってやがる。俺の一番嫌いな顔だ。
「お前な、思ってもない事口に出すんじゃねえよ。あの人の出世の件を気にしてんのかもしれねえが、無理強いしたくないって言ってたろ。他の人間だって、お前の気持ちがないまま嫁がれたって誰も喜ばねえぞ。出てけって言われるまで居座ればいい」
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玉虫厨子(プロフ) - コトハさん» こちらこそ最後までお読み頂きありがとうございます!鉢屋とのやり取りを気に入って頂けて嬉しいです☺️鉢屋はどうしても書きたいシーンが一つあるので、いつかルートで書けたらなぁと思っています。応援ありがとうございます!! (12月30日 7時) (レス) id: 9682a1978c (このIDを非表示/違反報告)
玉虫厨子(プロフ) - ちーさん» とうとう終わりました!連載中は何度もコメントくださりありがとうございました😊そしてこれからも末長く宜しくお願い致します🙇 (12月30日 7時) (レス) id: 9682a1978c (このIDを非表示/違反報告)
コトハ(プロフ) - キャラ皆んな魅力的ですが三郎と主人公ちゃんのやりとりが特に好きだったのでいつの日か三郎のお話も読めると嬉しいです、玉虫様のご無理のないペースでこれからも楽しみに応援しています。長々とすみません (12月30日 6時) (レス) id: 97fc43e259 (このIDを非表示/違反報告)
コトハ(プロフ) - 共通章完結おめでとうございます! 素敵なお話をいつもありがとうございます! 作品を読みながらこのキャラとのルートはあるかなっとドキドキしながら想像するのも楽しかったのでこれからキャラ達とどんなルートのお話が読めるのか楽しみです! (12月30日 6時) (レス) id: 97fc43e259 (このIDを非表示/違反報告)
ちー - とうとう共通話が終わったんですね!各キャラの分岐の話も楽しみにしています。最後まで愛読させていただきます! (12月29日 22時) (レス) id: 88a0bb30f3 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:玉虫厨子 | 作成日時:2023年12月10日 16時