其の弐(留三郎視点) ページ17
「君が就寝中、誤って触れて怪我をしてはいけないと思い、私が預かっていた」
そりゃ嘘だ、絶対嘘。あれは佐武村に帰る途中で捨てるつもりだったんだきっと。
「なんだ、そうだったんですね!わざわざありがとうございます!」
疑うことを知らないのか、照星さんの言い分をそのまま受け取るA。危険だって理由ならAからちょっと離して置いておけばいい訳で、わざわざ懐に入れる必要がない。
俺が苦無を置いた時、照星さんにはこれが雑渡昆奈門から渡されたものであることとAに気があること、去り際に接吻していったことは伝わっている。あの時かなり驚いた顔をしていたから絶対妬いたんだ!!!
「A、お前忍者だったのか?」
一人事情を知らなくて取り残されている虎若のお父上が訊ねる。
「いいえ、ただの忍術学園の居候です。これは貰い物でして…」
「居候なら忍者の真似事など辞めてすぐに照星殿と一緒になればいいだろう!?こんな良物件なかなかないぞ!?」
照星さんの隣に座り直し、背中をバシンと叩きながらおっしゃった。
「あはは、私にはもったいないお話です…」
「照星殿もこれを機に客分という立場を改めて佐武へ腰を据えるといい!実力も実績も申し分ない、副頭領としてどうだ?儂と共に佐武衆を盛り立ててはくれぬか?」
「……Aが嫁に来るならば、落ち着くべきかもしれませんな」
「んなっ!?」
何だとおおお!?照星さんを佐武衆に迎えたい虎若のお父上はAを照星さんの嫁にしようと学園に手を回してくるかもしれない!例えば此度の出征費用を免除する代わりにAを佐武村へ、みたいな事を学園長先生に打診されたり…!?
AはAで照星さんの出世が掛かっているとなれば性格上、嫁ぐという選択をする事も十分あり得る……。
「よしよし!!決まりだな!!」
「昌義殿、何も決まっておりません。私はAの意にそぐわぬことはしたくない故、どうか強引に進めることは避けて頂きたい」
「ふむ……そうか。A、佐武村はお主にとってどうであった?」
「えっ…皆さん優しいですし、過ごしやすい村だなぁと」
「うんうん、そうだろう。お主が夏休みに滞在したどこよりも魅力的だったろう!?」
「いえ、優劣はつけられませんが…」
Aがなぜか俺をちらりと横目で見たので一瞬だけ目が合った。
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玉虫厨子(プロフ) - コトハさん» こちらこそ最後までお読み頂きありがとうございます!鉢屋とのやり取りを気に入って頂けて嬉しいです☺️鉢屋はどうしても書きたいシーンが一つあるので、いつかルートで書けたらなぁと思っています。応援ありがとうございます!! (12月30日 7時) (レス) id: 9682a1978c (このIDを非表示/違反報告)
玉虫厨子(プロフ) - ちーさん» とうとう終わりました!連載中は何度もコメントくださりありがとうございました😊そしてこれからも末長く宜しくお願い致します🙇 (12月30日 7時) (レス) id: 9682a1978c (このIDを非表示/違反報告)
コトハ(プロフ) - キャラ皆んな魅力的ですが三郎と主人公ちゃんのやりとりが特に好きだったのでいつの日か三郎のお話も読めると嬉しいです、玉虫様のご無理のないペースでこれからも楽しみに応援しています。長々とすみません (12月30日 6時) (レス) id: 97fc43e259 (このIDを非表示/違反報告)
コトハ(プロフ) - 共通章完結おめでとうございます! 素敵なお話をいつもありがとうございます! 作品を読みながらこのキャラとのルートはあるかなっとドキドキしながら想像するのも楽しかったのでこれからキャラ達とどんなルートのお話が読めるのか楽しみです! (12月30日 6時) (レス) id: 97fc43e259 (このIDを非表示/違反報告)
ちー - とうとう共通話が終わったんですね!各キャラの分岐の話も楽しみにしています。最後まで愛読させていただきます! (12月29日 22時) (レス) id: 88a0bb30f3 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:玉虫厨子 | 作成日時:2023年12月10日 16時