【忍たま】君の想いは花筏【共通話４】 (ページ26)

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其の陸（兵助視点）ページ26

「兵助は凄いね！」

突然、Aが俺を褒める。

「あれくらい、五年生なら皆避けられるよ」

「ううん、それだけじゃなくて。避けると同時に石で反撃するのも凄いし、三木の風船は兵助の攻撃を避けて割ったんだから兵助の点数でよさそうなのに、それを遠慮するところとか」

「そう？俺の何かが当たった訳じゃないから違うのかなって」

「なんだか、控えめな兵助を勝たせたくなってきた！」

「えっ、それは嬉しいけど、俺どうしてだか五年生の皆に宣戦布告されてるから難しいかもなぁ…」

と言うか、控えめに見えてるのかな？明日の豆腐料理の為に勝つ気は満々なんだけど。

「今の点数は？」

「今福と時友、それに戸部先生の風船を割ったから七点かな」

「戸部先生の風船を割ったの！？」

「ああ、幸運な事にお昼前で空腹だったみたいで簡単に割らせてくれたんだ」

空腹時の戸部先生は非力で隙だらけだからね。

「だったらこのまま防衛して十二点終了だといい順位に入れそうだよね」

「まあ、防衛できたらの話だけどね」

「あのね、私に案があるんだけど──」

◆

俺は今、Aを負ぶっている。Aは負ぶさりながら俺の風船に手を伸ばし、守っている。

「ふっふっふ。これで誰も手は出せまい！」

自信満々にAが言う。確かに俺の風船を割ろうとすればAを傷付ける恐れが高い。防衛確率はかなり高くなったと言えよう。

「うん…でもいいの？」

「何が？あ、思ったより重かった！？降りようか！？」

「や、それは全然なんだけど、凄く密着してるから。Aの胸が俺の背中に当たってるけど、いいのかなって」

「………ごめん……」

「いや、俺はAがいいならこのままがいいんだけど」

そりゃあ俺だって男だから女の子の胸が当たったら嫌な気はしないし、相手がAだったら寧ろ嬉しい気もするし。

「へ？このままがいいってどういう…」

「ん？どういうって？」

「……何でもない。降りるね…」

「そっか、残念…」

「ほんっと、兵助ってば馬鹿正直で一言余計だよねぇ〜」

背後から聞き馴染みのある声がして振り返ると、同室が呆れ顔で腕を組んでいる。

「そう？」

「豆腐って叫んで敵を作るし、田村の二点をみすみす逃すし、Aのおんぶだって黙ってその感触を堪能しとけばいいのにさぁ。
護衛役、代わって欲しいくらい」