愛情キャビネット【まふまふ】

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Aside





『まふくんって結構キザだよね。』





何気なく、左手の薬指にはめられている指輪を見つめ





小さく刻印されている文字を爪でなぞってみる





何も返答がないなと思い振り返ってみるとマグカップを持ったままぴたりと動きが止まっているまふくん





『…まふくん？起きてる？』




立ち上がって顔の前で手を振ると手首をバシッと掴まれる





『っえ、なに……？』




「キザなのやだ？」




『やじゃないよ』




「なんだ…よかった……。」





子供をあやすみたいな、優しい声音が耳元をくすぐる







顔を綻ばせたまふくんは掴んだ手をそのまま引いてソファーへ誘導させ






隣に腰掛けるとテーブルにマグカップを置いて視線を真っ直ぐ此方へ向けた







足元へひょこひょこと寄ってきた愛猫を膝へ乗せるとまふくんは口を開く






「キザなことも言っちゃうくらいAちゃんが可愛いのが悪いの」




『…ん？』




「可愛い罪で逮捕します！」





床に猫を逃がしてぎゅーっと抱きつかれる




バカップルみたいなよく見るやりとり




恥ずかしいけど嬉しい





『…結婚できてよかったよ』




普段は言わない本音も





「…ふふ、結婚指輪よりもAちゃんの方が綺麗だけどね？」





いつもよりかっこよく見えるのも






『…ほんと、恥ずかしくないのそれ』





いつにも増して胸焼けがしそうなほど甘いのも






ぜんぶぜんぶ、愛されてるから

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