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バスティン 腕:恋慕「ゆめうつつの果て」 ページ3

「バスティンの剣術を見てみたい。」



そう言われて、俺は森に

主様を伴うことになった。



バス「馬にしよう。

主様にも馬の良さを知って欲しい。」



「いいの?」



俺は、いちばんいい馬を

連れて、鞍をつける。



バス「ここに足をかけて、そうだ。」



主様が鞍に座ったのを確認して、

俺も主様の前に乗りこみ手綱を引く。



バス「しっかり、俺の腰にしがみついていてくれ。」



「ちょ、バスティン、」



後ろに主様がいる。

そう考えただけでなぜか頬が緩み、

安全に馬を走らせなければと考える。



不思議だ。



しばらく走り、

馬の歩みを止め、手綱を枝に繋いでおく。



「はー、馬ってすごいね。」



バス「そうだ。俺も、馬は好きだ。

だから主様にも、知って欲しかったんだ。」



主様は、馬に積んでいた

大剣を俺に渡して



「好きなくらいやっていいよ」



と笑った。

自然と「ありがとう」と言葉が出てきて、

こういう日々を主様と過ごしたいと思った。



だが、そんなことを、

俺が願っていいはずがない。



バス「すまない、主様。

椅子も何も、持ってくるのを忘れてしまった。」



「あ、大丈夫だよ。

木の根っこに座るし。」



バス「本当にいいのか、

見てても何も面白くないと思うが。」



叶わないであろう願いを、

素振りで切り裂く。



迷いも、抱いた恋慕も、過去の後悔も、

全て切り裂ければいい。



無心に剣を振り続け、

いつしか刃に猩々緋が瞬くようになった。



バス「主様、」



はっと振り向くと、

主様は木に寄りかかり、

ぐっすりと眠っていた。



バス「すまない」



起こしては悪いから、

小声で謝罪をする。



無論聞こえていないだろう。



木の葉から漏れる金の光が、

主様の顔を差す。



バス「主様。」



今なら、

と考え、大剣を置く。



主様の前に跪いて



バス「俺は、主様を絶対に守ってみせる。

傷つけさせたりなんてしない。」



前腕を持ち上げて、キスを落とす。

今は、これしかできない。



バス「いつか、ゆめうつつでないときに、

また伝える。愛している、A。」



優しく抱き上げ、

5分で来た道を3倍かけて歩いた。



薄明の頃、屋敷の入り口で、

主様は起きた。



「ん、んあ?バスティン…」



バス「おはよう、主様。」



俺の腕は、そんなに居心地が良かったか。



主様は、落陽の汀のように赤面した。

ハウレス 瞼:憧憬 同じ景色を→←ロノ 頬:満足「笑ってくれよ」



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悒ゆう(プロフ) - もる。さん» ご愛読ありがとうございました(*´ω`*)他の作品も是非どうぞ! (2022年6月5日 9時) (レス) id: f72a01e073 (このIDを非表示/違反報告)
もる。(プロフ) - 完結おめでとうございます!陰ながら応援させていただいておりました!とても面白い作品、ありがとうございました〜(*´꒳`*) (2022年6月5日 9時) (レス) @page14 id: f898b9995a (このIDを非表示/違反報告)
悒ゆう(プロフ) - Lilyさん» ありがとうございます!頑張って書きますね(°▽°) (2022年5月29日 18時) (レス) @page9 id: f72a01e073 (このIDを非表示/違反報告)
Lily - あなたの文章、とても好きです。 (2022年5月28日 12時) (レス) @page8 id: d4500c81a9 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:悒ゆう | 作成日時:2022年5月15日 19時

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