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喜怒哀楽。
彼女が今どんな感情でその言葉を言ったのかはわからない。
彼女が窓から飛び降り、病院に運ばれ、目が覚めた後から、意図的に感情を閉ざしていることは
始めて彼女を見た人でもわかる行為だった。
人を治せるのは人しかいない
だけどどんな人でもいいわけでなく、その病人が信頼できる人でないと治せないのだろう。
初対面の人に自分のあれこれを話せないのと同様に
彼女は顔なじみの僕でさえ話せない何かがあるのだろう。
「すみません。面会時間が…」
病院に来たのも遅い時間だったうえ
彼女の言った言葉に対して罪の意識に駆られているうちずいぶんと時間がたっていた。
「あぁ、じゃあまた来るから」
「うん。無理しないでいいからね」
「…A」
「何?」
「今度来るとき…何か持ってきてほしいものでもあるか?」
入院生活を送ってからというものこの部屋には花や人形やそういった類のものは一切なかった。
…自分が持ってこようという意識がなかったせいだが
そんな小さなことを繰り返すことで許してもらおうと思っているのか
「そうだな…じゃあお花買ってきてくれない?」
「なんの種類がいいんだ?」
「月下美人」
花言葉は
______ただ一度だけ会いたくて
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作者名:うまずたゆまず | 作成日時:2018年8月17日 20時