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「長い間行けなくて悪かった」
「大丈夫。組織だけじゃなくて最近は公安のほうも忙しいんでしょ?」
「っ…なんで…」
「気づいてないかもだけど目の下のクマは酷いし、顔色も悪いよ」
病室に備え付けてある鏡をとっさに見る。
クマは分かる。
だが…
「顔色は…そうか?」
「ん…でも零に会うのは久しぶだし余計にそう思うだけかも」
組織の一件が始まる前にしばらくこれなくなるとAに言ったのが2ヶ月前ぐらい
あの時は大きい仕事の前にと十分に体調を整えた状態で会いに行った
部下の風見でも、今日は殆ど一緒にいた梓さんでさえ言い出さなかったのに
「観察眼はAには負けるな」
「そうかな?滅多に人こないしただ単に覚えてるだけかもね。先生も看護師さんも同じ人だし」
「別の人が来ることはないのか?」
「前までは来てたんだけど最近は固定かな。治療もカウンセリングとリハビリだけだし」
そういって何もまかれていない華奢な足に手を伸ばす。
その手だって折れそうなほど細くて
だけど儚げな雰囲気はなくしっかりとそこに存在するような。
そんな体が座っているのは机に備え付けの椅子ではなく
手を使って体を動かす車いすだった。
「まだね。…まだ歩けないんだ」
「…」
「毎日練習はしてるのに。支えがなくても歩けるようになろうと思ってるのに」
「…」
「いまだに支えがあっても歩けないんだ。思うようにね、足が、動かないの」
お前が悪いんじゃない。あの時答えられなかった自分が悪いんだ。
それがいまだに伝えられない僕は。
心のどこかで自分と彼女がいまだに対等な関係で居続けたいと思ってる。
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作者名:うまずたゆまず | 作成日時:2018年8月17日 20時