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人は何度でも同じ過ちを繰り返す。
例えば歴史上に悪人が出てこなければ戦争など起こらなかったというが
因縁も因果もそんな容易いもので出来てはいない。
その悪人が出てこなければ別の悪人が必ずどこかにできて
同じように歴史は流れる。
だからこそ。
今日彼女が死のうと窓を飛び降りなくても、いつかはそうなったのだ。
そしてその現場に立ち会えず、救えなかったのも同じようになったのだ。
疲労困憊の体など捨て置いて病院に向かった
そこで見た彼女はとても見れたものじゃなかった
「幸い階が低かったものですから、命に別状はありません」
「そうですか」
「ただ…」
「ただ?」
「打ち所が悪かったもので、いつ目覚めるかはわからないです」
もう何も聞きたくない。
彼女が死ななければそれでいいんだ。
だけど彼女が目覚めたところで自分に何ができる
この事実は変わらない。
助けに来なかった自分を責めるのだろうか
それとも何も言わないのか。
どっちにしろ自分はあいつら3人の代替品にすらなりえない
「…」
何もできないとわかっていながらも自分は祈るしかないのだ。
ぐちゃぐちゃになった思考を抱えながら1日彼女の回復を待った。
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作者名:うまずたゆまず | 作成日時:2018年8月17日 20時