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「それじゃあお疲れ様。バーボン」
「えぇ。お疲れ様でした」
今日も組織の仕事で人を一人殺めてしまった。
日本のため。国民のため。
だからって割り切れない思いがないわけじゃない。
誰が為、己の正義を振り回すのか。
「全く…自分は何がしたいんだろうな」
安室透だってバーボンだって自分が作り上げた人格に変わりはない。
ただ、作り上げたものだったとしても少しもの望みはあっても構わないのか。
煌々と明るい街中を走ってもなお、その悩みは晴れることがない。
喉がつぶれるほど叫んだって、足が折れるほど走ったって。
二律背反。
結局はその一言で片づけられてしまうんだ
自分の同士の関係も、周りとの関係も。
もちろん彼女との関係も。
花火大会が終わった後から彼女には会えていなかった。
…いつか彼女との関係もなくなってしまうのだろうか。
「…どうした風見」
「すみません。今すぐ本庁のほうに来ていただけませんか」
「すぐ行く。自分でできる分は何とかしておけよ」
「分かりました」
まだ夜は長い。
いつになったらゆっくり寝れるのか
自分の余計な思考をかき消すかのように愛車を法定速度ぎりぎりで走り抜ける。
自分のことなど知らないように。
世界の中には誰もいないかのように。
そうしていれば楽なんだと気付いたのはいつだったんだろうか。
本庁につくまであと_____。
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作者名:うまずたゆまず | 作成日時:2018年8月17日 20時