Spotlight. (ページ11)

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〇大きな変化ページ11

思っていた数倍は楽しかった2マンから数週間が経った。僕は変わらず現場が発表される度にAちゃんに会いに足を運んでいた。

ひとつあった変化といえば、汐恩が現場に来なくなったこと。

かろうじてLINEは返ってくるものの、汐恩のSNSの更新は止まっていた。
些細だけど大きな変化だった。

祥生すら知らなかったようで、本当に驚いた顔で僕に「ほんまに翔也も知らんの？」と聞いてきた。

…Aちゃんが僕に何も聞いてこないことは気がかりだけど。

『翔也くん今日もありがとう』
「今日もAちゃん可愛かった」
『本当に？嬉しいなぁ(笑)』
「…そういえば！最近集客増えたよね」
『そうなの！！増えてきたよね？ライブ中もね、ピンクのペンライト増えたなって思ってたの！』

女の子のファンも増えてきたんだよ、と嬉しそうに話すAちゃんとは裏腹に僕の頭の中にはどうしても汐恩がチラついて。

汐恩は来なくなっちゃったけどね、なんて皮肉が喉の奥まで出てきたけどそれを言ってしまえばAちゃんからの信頼を全て失うような気がしてぐっと飲み込んだ

Aちゃんの前で汐恩の名前は出しちゃいけない気がする。

…何かあったのか、聞くのはAちゃんにじゃなくて汐恩にしよう。

『翔也くん翔也くん、』
「ん？なに？」
『いつも本当にありがとう』

ありがとう、なんて何度Aちゃんから言われたか分からない。僕も何度もAちゃんに伝えてきた。

だけど今日聞いた「ありがとう」は今までより何倍も重かった。

「Aちゃ、〈次の方どうぞー、〉…またね」
『…うん、またね！』

なにかあったの？と聞きたかった言葉はスタッフさんによって遮られた。