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ケータリングからドーナツをとって、モグモグと食べていると戻ってきたカメラマンさん。
『誰かと話さないの？』
と声を掛けられる。
「泣きそうになるから、本番前は無理です(笑)」
せっかくしてもらったメイクが剥がれちゃうもん、今泣いたら。ていうか絶対あのひな壇に着席したら泣く。順位発表始まる前に泣く。間違いなく泣く。
「みんなとの時間が濃くて、みんな残って欲しいって思っちゃうんですよ。でも椅子の数は限られてるから…」
この中で残ることが出来るのは22人だけ。
22個の椅子を、41人で取り合う。
「あー…やばいやばいやばい(笑)」
気抜いたら涙でそうになる。必死で目をパタパタさせて乾かす。
あんまり意味はなかったけど。
これにはカメラマンさんも苦笑い。
藤牧「隣いいですか」
「ダメです」
藤牧「おい(笑)」
「嘘だよどうぞ」
京ちゃんがわざわざ隣に来るのは珍しい。いつも大夢くんたちと座ってるのに。
藤牧「みんながAが今日静かだからって心配してた」
「今日は流石にね〜…」
藤牧「濃かったもんね、思い出」
「うん、」
いつもみたいになれないのは仕方ないでしょ？京ちゃんも分かってくれるよね、この気持ち。
藤牧「俺今日登場の時1人でもぎたてアルプスやるわ」
「なにそれ超楽しみじゃん」
藤牧「絶対笑わないでね」
「笑うよ、みんな笑うでしょ」
藤牧「…まぁ、それでAが笑ってくれるならそれでいいけど」
「え？」
藤牧「…なんでもない！2回も言わせんな」
「ちょ、京ちゃんもう1回言って！！」
藤牧「言わない！」
いつもどこか冷静でツンツンした京ちゃんの突然のデレ発言に驚いていると、京ちゃんは耳まで真っ赤にしていた。
京ちゃんのおかげで少しだけど元気になった気がする。ありがとう、京ちゃん
ー順位発表まであと、1時間
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作者名：う | 作成日時：2021年7月8日 12時
