実験2 ページ3
ー調査レポートー
果物や野菜を好み、肉や魚を嫌う傾向がある。
自身の能力は使いたがらず、檻の中で悠々自適に過ごしている。
受け答えも正確で意思疎通も可能
ーーー
『A、御飯持って来たで』
夕御飯の乗ったお盆を片手に地下牢に書記長はやって来た。石畳みを踏み付ける靴音でもうわかっていたのか、満面の笑みでちょこんと床に座っているA。
なんというか、本当に従順な犬という感じだ。忠犬A公だな。
『やった‼お腹減ったで‼とんさんのごっはん、ごっはん♪』
『御飯言うてもお前のお望み通り林檎とレタスだけやけどな』
『それでもいいんです〜。とんさんが持って来てくれただけで私は嬉しいんですよ』
…駄目だ。書記長は幻覚だとわかっているものの、Aの頭に犬耳が生えているように見えた。もう此奴は犬なのかもしれない…と。
柵越しにそれらを手渡すと、林檎を両手でもしゃもしゃと食べ始める。
『…むー、美味しいっ』
『それ食べ終わったらくられ先生来るからちゃん準備しといてな』
『はーい』
くられ先生こと我々國随一のヘルドクターはAの研究に勤しんでいる。これも総統命令な訳であるが、互いに拒んでいないので良しとしよう。
『とんさんにも林檎一口あげる。はいっ‼』
手を限界まで伸ばして書記長の頰にぐいぐいと押し付ける。
『いや、腹減っとらんから遠慮しときますねぇ』
『いいから食べて下さいって‼』
『…ングッ‼』
無理矢理彼の口に押し付けるとシャクリと音がして、Aは満足そうにへへ〜っと意地悪そうに目を細めた。
一方書記長はこれって間接キスやないか?と童貞には刺激が強過ぎた故に顔を真っ赤にしてもきゅもきゅ林檎を咀嚼していた。赤マフラーと顔がおんなじ色だ。
『あれ?照れてます?』
『ちゃうわ』
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