心臓を飲み込め【em】 ページ18
暖かくなって欲しくなかった。
ずっと冬のままでいて欲しかった。
白でいい。何も知らない白でいい。淡いピンクなんて知らない。知りたくない。
悴んだ手を握って、“寒いですね”って笑う君はもう卒業してしまう。時間よ止まってしまえ って何回も願った。
『…卒業おめでとう。エミさん』
『ありがとうございます。お陰で無事受験も合格出来ました』
『難関校だったよね、凄いわぁ。私には絶対出来ん』
『学年一位が何言うとるん。大丈夫、まだ一年ある』
何があと一年ある よ。エミさんと一緒にいれる時間はもう無いのに。勉強する意味が無くなっちゃうじゃん。
エミさんに私の存在を知って欲しかったから生徒会に入ったし、全国模試で50番以内に入るほど死ぬ気で勉強した。…それなのに。
『大学に入ったら、春が来るのかな』
『…多分来ぅへんやろな』
『なんで？エミさん顔イケとるし、黙っとれば自然と女の人寄って来るって』
もうここで挨拶も出来ないし、その顔を見る事さえなくなってしまう。あと一年産まれるのが早かったら、また違う結末だったろうに。
教科書忘れたふりして隣の席のエミさんに見せて貰ったり、文化祭で出し物一緒にやったり、もっともっと今よりも仲良くなれたのかな。
…駄目だ、考えるのはよそう。涙が落ちそうになっちゃうから。
『…んー、今が俺の春やから大学では要らんねん』
『なんだそれ、童貞拗らせ過ぎちゃうか』
グラウンドに散る桜を見ながら言った。やめてよ、期待させないでよ馬鹿。目線を晒さないと、泣いてるのがバレてしまう。
『これ、俺からのプレゼントや。…と言っても第二ボタンやけど』
『良いの？私で』
『Aが俺の高校生活の春やったからえぇねん。Aに貰って欲しいんや。俺の心臓』
手の平にコロンと転がった。耳を真っ赤にしてそっぽを向いてるエミさん。私の大好きな先輩。
『私、握りつぶしちゃうかもよ？』
『それは嫌やなぁ。でも、Aならえぇで』
『おすべりマンのくせにカッコいいこと言いよって、この阿保‼』
なんで其処で言うん⁈とおどおどした姿にぷっと笑ってしまう。やっぱりエミさんはこうでなきゃ。
勉強して勉強して来年、同じ大学にしれっと入ってやる。私の胸ポケットにエミさんの第二の心臓を入れた。
You always on my mind.
ーー
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姫鶴(プロフ) - リクエストです。二つって大丈夫ですか？「I want to be cute powered 」グルさん、可愛く有りたい」で、二つ目が「」can not become obedient、素直になれない」エミさんでお願いします！どちらか一つでも大丈夫です！ (2018年10月21日 0時) (
レス) id: 2e70da2045 (このIDを非表示/違反報告)
橘欅(プロフ) - 姫鶴さん» 勿論。喜んでお受けします！ (2018年10月14日 13時) (レス) id: 4f6b87549d (このIDを非表示/違反報告)
姫鶴(プロフ) - めっちゃ良かったです！！それと、また今度になるかもですけど二回目のリクエストとかってアリですか？ (2018年10月14日 0時) (レス) id: 2e70da2045 (このIDを非表示/違反報告)
橘欅(プロフ) - 姫鶴さん» 書いていて楽しかったです。お気に召したようならば幸いです。リク有難うございました！！アレでしたら書き直しますのでその時は言ってください (2018年10月13日 22時) (レス) id: 4f6b87549d (このIDを非表示/違反報告)
姫鶴(プロフ) - リクエスト良いですか！エミさんで,you alwys on my mind.(あなたは常に私の心に。)で学パロをお願いできますか？ (2018年10月13日 13時) (レス) id: 2e70da2045 (このIDを非表示/違反報告)
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