【wrwrd!】If 【短編集】

溢れ掛けの感情を【kn】 ページ15

私は軍人だ。別に、人が死んだってどうも思わない。ただ、運が悪かったんだな で終わる。

そういう所は、私の同僚のシッマと似ているのかもしれない。それを本人に言ったら「一緒にすんなや」って言うだろうけど。

『なぁ、お前なんでこうなってるん？誰にやられた？』

『…別に。部下が殺されそうになってたから…庇っただけ』

今、純粋に腹が痛い。つまるところ、腹が裂けて血が水道みたいに漏れ出している。…あ、血だから血道か。

お願いだからシッマ。大声で話し掛けないで。拠点まで戻るの凄い苦労したんだから。


『他の奴の心配するよりも、自分の心配せぇや‼死んだらどないすんねん‼』

『うるさい…‼傷に響くだろうが。かわいいかわいい部下を庇って何が悪いんだよ』

私を見つけるなり、しどろもどろになってぐるぐると周りを回る姿はまるで犬のよう。おんぶをしたら、医務室まで風のように駆け抜けた。


ぺ神、ぺ神‼と彼の肩を揺さぶって私の治療を急かすシッマ。そんなに慌てなくても良いのに。ほんま馬鹿やなぁ。

横になったベッドでぼんやりと天井を見つめる。シーツが赤に染まっていくのが何とも申し訳ない。


『なんでインカムで俺の事呼ばなかったん？呼んでくれたら駆け付けたのに』

『爆発でインカムぶっ壊れた』

『そういうところやっぱ阿保やな、Aは』

『阿保で結構。どうせこんな重傷者、すぐ死ぬんだから。この傷が塞がんなかったら死ぬつもりだよ』

役に立たない兵士は死ぬべきだろ？と、シッマに同意を求めると、頰を思いきり叩かれた。脳が揺さぶられて痛い。

『…いった、何するんだよ』

『お前、俺の前から居らんくなったらしばき倒すからな。お前の代わりは誰も居ないんやで？頼むから死ぬな‼』

涙をぼろぼろと流して、私の胸部の服を握り締めていた。何が悲しいのだろう。私にはわからない。

しんぺい神が私の髪の毛を撫でて優しいく言葉を落とした。

『Aちゃん。Aちゃんの意思は死んでもいいと思っとるみたいやけど、身体は生きようとしてるで？ほら、死んでもいい言うときながら涙流しとるやん』

え？と思って目の下を触ると、生暖かい感触があった。涙が流れ出てやまない。

『好きや、だから…死ぬな。A__』

失くしたはずの心が生きたいと叫んでいるようだった。心臓が苦しい。初めて死にたくないと思った。

シッマは私に言う。




My love to you.





声を上げて泣いた。

主役は我々【__】→←騎士【gr】

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