. ページ11
A先輩の小さな手をそっと握り返す。
指先がひんやりと冷たくて、氷のように痛かった。俺の手も次第に冷えてきて、お揃いっすね と言って笑う。
先輩は儚くて、困ったように眉を下げて笑う癖がある。先輩が任務に駆られる度に、俺は寂しくなって撫で肩の背中を抱き締めてしまう。
『先輩、絶対に帰って来てくださいね。俺アンタが居ないとダメなんすよ…』
『大丈夫、私は死なないわ。ほら、此処にちゃんと居る。貴方の大好きなA先輩は貴方だけを見てるよ』
俺の背中に腕を回して手の平でぽんぽんと優しく叩いてくれる。目頭が熱くなって世界の輪郭がぼやけてきた頃に
『泣くな、一生の別れじゃ無いんだから。 これが初めての戦争じゃないし。』
『別泣いてないっすよ。目にゴミがはいったんで』
『何だそれは。…はいはい、そういう事にしておいてあげる。』
ちょっと隣町に買い物に行ってくる といったように先輩は俺の頭をぽんと一回撫でてそのまま行ってしまった。
あの時、無理矢理にでも腕を引いて引き留めていればこんな事にならなかったのに…。
降りしきる雨の中、透明なそれは人の血に染まって赤黒くその色を変える。
後方支援をして居た俺は、インカムでいくら話し掛けても答えてくれない先輩の所へただひたすらに走り抜けた。
沢山の死体の山の上に、先輩は倒れていた。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 68人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
姫鶴(プロフ) - リクエストです。二つって大丈夫ですか？「I want to be cute powered 」グルさん、可愛く有りたい」で、二つ目が「」can not become obedient、素直になれない」エミさんでお願いします！どちらか一つでも大丈夫です！ (2018年10月21日 0時) (
レス) id: 2e70da2045 (このIDを非表示/違反報告)
橘欅(プロフ) - 姫鶴さん» 勿論。喜んでお受けします！ (2018年10月14日 13時) (レス) id: 4f6b87549d (このIDを非表示/違反報告)
姫鶴(プロフ) - めっちゃ良かったです！！それと、また今度になるかもですけど二回目のリクエストとかってアリですか？ (2018年10月14日 0時) (レス) id: 2e70da2045 (このIDを非表示/違反報告)
橘欅(プロフ) - 姫鶴さん» 書いていて楽しかったです。お気に召したようならば幸いです。リク有難うございました！！アレでしたら書き直しますのでその時は言ってください (2018年10月13日 22時) (レス) id: 4f6b87549d (このIDを非表示/違反報告)
姫鶴(プロフ) - リクエスト良いですか！エミさんで,you alwys on my mind.(あなたは常に私の心に。)で学パロをお願いできますか？ (2018年10月13日 13時) (レス) id: 2e70da2045 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
