れ ページ3
「…ゾムの事が好きだったかは分からない。分からないけど、ゾムの幼馴染っていう優越感は多分持ってた。
ゾムさ、女好きのくせに恋愛とかしなかったじゃん、めんどくさがって。ゾムの隣を歩く女の人はころころ変わってくけど、私とロボロだけは何十年も一緒に居たでしょ。それが一種の誇りみたいになってたんだと思う。
どれだけ可愛い人がゾムの隣に居ても、いずれ別れる。あれは遊び って分かってたからなんとも思わなかった。
でもさ、私あんなに幸せそうなゾムの顔初めて見たの。本気なんだなって心から思った。それと同時に、羨ましいなって思った。
小さい頃から一緒に居たのに、ぽっと出の人にゾムを取られるのがなんというか、悔しかった。
なんだろう…恋する前に失恋した感じ。やだなぁ、幼馴染の幸せを願えないなんて…ほんとに終わってる私 」
ぽつりぽつりと話し出すと止まらなくなって、堰を切ったように抑えていた感情が流れ出す。
自己嫌悪の波が容赦なく襲いかかって来て、沼に嵌ったように重くて苦しくて抜け出す事が出来ない。
涙が流れ出して止まらなくて、こんな悲劇のヒロインを装おうとする自分が嫌いで嫌いでしょうがない。
「俺もなぁ、長い事拗らせてるんよ。聞いてくれるか?」
顔を手のひらで覆って泣いていたら、ロボロが背中を擦りながらそう言った。頷くしかなかった。
9人がお気に入り
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ