魔女と我々だ！！【d!】 (ページ3)

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母は偉大な魔法使いで父は心優しい賢人だった。二人とも村人の為に薬を作り、まじないを教えて暮らしていた。

箒で空を飛んだり魔法陣を描くことはあっても、無闇に人を傷つけてはいけない

あまり魔法を誇示しない

これは小さい頃両親から教えて貰った事だった。私はこの教えをずっと守り続けていた。勿論父も母も守っていた。

いつからだろう、慎ましやかな幸せが狂ってしまったのは
家を焼き払われ、母が囚われた。母を助けに行った父は未だに帰って来ていない。『魔女狩り』にあったのだ。

国が自分達よりも上位の存在にある魔法使いや賢人達を皆処刑し始めたのだ。
王は反逆分子の種になる可能性があるものは全て排除するようになってしまった。

魔女狩りから生き残る為に、私は手持ちの魔導書は全て埋め、箒は暖炉の中に投げ込んだ。人間である振りをしたのだ。

そして、村娘のような格好をして山奥まで逃げ込んだ。魔女狩りが終わるまで粗末な小屋でひっそりと息を殺して暮らしていたのだが、結局国の駐屯兵に捕まり、私は処刑される事になった。

処刑前日、私は自国の王に呼ばれ、

『我が国の戦況が危ないからお前も魔法でもなんでも使って現地の兵隊を援助して来い』

と手のひらをくるりと返された。国に親を殺されたのに、今更国を救えなどと愚かしい事を問われるとは思わなんだ。堪らず拒否をし、足枷を付けられたまま私はその場を逃げ出した。
銃弾を撃たれようが、かまわずに逃げ出した。

逃げて逃げて、地面に落ちていた瓦礫の棒に跨り空を飛んで逃げた。

どれほどの時間が経ったろうか、空に降り注ぐ焼夷弾を避けながら逃亡を図っている時、ぐにゃりと視界が歪んだ。

肩に目を向けると、長い矢がずぶりと深く刺さっていた。バランスを崩してそのまま地面へと落ちていく。
最後に視界に捉えたのは、屋根の上で此方に手をひらひらと振る緑のパーカーを着た男だった。