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「痛み止めが切れたっていうのにそんなに動いて痛くないんですか?」

「多少の痛みになら耐えられるさ。呼吸を使っているからな‼」

「あんまりご無理はなさらぬようお願いしますね。完治しないまま動くと最悪の場合歪に骨が繋がったり筋繊維がおかしくなりますから」

「よもや!」

恐ろしい事を淡々と告げられる煉獄は思わず口癖を一言。彼女は骨の構造を少し彼に説明していった。どういう風に壊れ、どういう風に治って行くのかを。


空中に指を踊らせ、此処がこうだからこう繋がっている訳でそれ故に血が多く循環するのだ とか人体の仕組みを事細かに話すAの顔は少し活き活きとしていた。
話の内容は全てわからなくても煉獄は退屈では無かった。彼女の顔を見ているだけで同じように楽しくなれたから。


「………で、此処の骨は太いんですよ。…って、聞いてます?」

「うむ‼」


熱い視線に気が付いたAは話を中断して煉獄を訝しげに見る。彼女を穴が空くほど見ていた煉獄は、首をぐいと曲げ笑いながら他の方向を向いた。見惚れていたのを誤魔化したつもりだ。


「まぁ、要するに言うと、貴方は回復速度が尋常じゃないくらい早いですが完治するまでは過度な運動は禁止 って事です」


ある程度回復したら機能回復訓練をしますのでそれまでは辛抱ですよ とAは念を押す。


その時、脚元がぐらついた彼女は地面に倒れ込んだ。連日の徹夜が仇になったのか、それとも只の不注意か。


顔が地面にくっ付きそうな時、からん と大きな音が聞こえた。


「れ、れれれれれれ煉獄さん⁈」

「危ないところだったなA‼怪我は無さそうで良かった‼」


松葉杖を放り、煉獄がAを抱え込むようにして地面との衝突をさけたのだ。お蔭で今の体制は、Aが煉獄を押し倒す様な形になっている。


「すみません、すみません‼要安静って言った矢先にこんな事をさせてしまうなんて…」


ばっ と勢いよく離れた彼女はぺこぺこと謝った。顔が真っ赤になっていて、目がぐるぐると泳いでいる。可愛らしかった。


「君が 炎柱様 と呼ばなかった事だけで対価になっている‼それに人助けをしたまでだ、謝るものではない‼」


あ と口を抑える。無意識のうちに言ってしまっていたらしい。Aは恥ずかしそうに下を向いた。


「ありがとうございます。その…あの…煉獄さん」


「良い返事だ‼」


太陽のような笑顔で煉獄は笑った。


耳がほんのりと赤かった

焦れったい両片想い→←.



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橘欅(プロフ) - ネコ2世さん» コメントありがとうございます!幸せな気持ちになっていただけるなんて…光栄です!どうかこの作品をご贔屓に! (2019年11月13日 16時) (レス) id: 4f6b87549d (このIDを非表示/違反報告)
ネコ2世 - 主人公が可愛らしくて好きです!煉獄さんとのやり取りが微笑ましくて読んでる側もすごく幸せな気持ちになります! (2019年11月12日 16時) (レス) id: 6d89e33ad2 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:橘欅 | 作成日時:2019年11月10日 22時

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