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「どうしても私は身体を売りたくなくて、鬼殺隊に入る事にしたの。私が家から出れば、その分の食費も浮くし、柱くらい重役になればお給料も高いでしょ？…そんな腐った理由で私は鬼殺隊に入ったわ。
家族を殺された とか。鬼が憎い とか、そんな感情じゃなくて、お金が欲しい っていう理由で鬼を斬った。毎日自己嫌悪だったよ。いっそ死んでしまいたいって思うくらいに。
でも、柱になって、あんたと出会って、自分の事がちょっとだけ好きになれたの。
着飾る事を覚えたし、口に紅を塗る楽しみも覚えた。少しでも可愛くなりたい、って他人の為に努力する自分が馬鹿らしくて、大好きだった。
あんたから婚約の申し出を受けた時も、本当は死ぬ程嬉しかった。でも、私にはあんたはもったいないくらい良い男だから、私の家があんたを縛り付けるから、申し出を断った。それだけの事よ」
「…よもや……よもや」
なんて言葉を返せば良いのか見当が付かない。笑い飛ばせないような、暗い過去。煉獄は重たい口を開くことが出来なかった。
「柱をやめたのは、半ば半強制的。父にね、お前に丁度いい婚約者を見つけてきたから、お遊びで剣なんか振ってないで早く家に帰って来い って言われたから。逆らう事なんて出来ないわ。
妹を異国に留学させるって言うから、私が結婚するしか無いの。それを知った時、妹に深く嫉妬した。
でも、家族だから、私が支えなきゃいけない。逃げちゃ…駄目なんだ。
ごめん。本当にごめん。ごめんなさい」
「…今迄辛かったな。気付いてやれなくてすまなかった」
煉獄はAを優しく抱き締めた。片腕にすっぽりと収まってしまう小柄な身体。その背中には、抱えきれない程の重圧がのし掛かっているのだ。
どうにかして、取り除いてやりたい。取り除けないなら、せめて一緒に背負ってやりたい。
「杏寿郎…私を許して」
「許すさ、君の事は幾らでも許す。…だから、少し俺に君の苦を背負わせてくれ」
「…ぇ？」
「俺の隣に居てくれ。俺が幕を下ろす」
全てを燃やす炎で、Aの靄は晴れるだろうか。太陽のような、暖かくて柔らかい声が耳元に溢れる。何の事か理解が出来ていなくても、Aにはすとん と胸に落ちた。
負の連鎖の幕を下ろす。白馬の王子ならぬ、火炎の柱は、愛するものの為に立ち上がった。
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橘欅(プロフ) - 柚葉さん» 此方こそ読んでいただき感無量です！拙い文章ですが私なりに煉獄さんのかっこよさを出したつもりの作品でした！本当にありがとうございます！ (2021年4月16日 22時) (
レス) id: 008152d6a1 (このIDを非表示/違反報告)
柚葉(プロフ) - やっぱり煉獄さんはカッコいい！！素敵な作品を読ませていただきました！ありがとうございました！！！ (2021年4月15日 8時) (レス) id: 33c3d87eb8 (このIDを非表示/違反報告)
めい(プロフ) - コメント失礼します。私名前がメイなんですよ。それで名前ひらがなで読んでったらめいめいメイになりました！面白すぎません笑？ (2020年3月18日 22時) (レス) id: f101cde2b9 (このIDを非表示/違反報告)
橘欅(プロフ) - あおさん» ありがとうございます！最近寒いですね〜、私の地方にも白鳥が訪れて来ました。最後まで御愛読ありがとうございました！次回作も是非目を通して下さいね！ (2019年11月12日 22時) (レス) id: 4f6b87549d (このIDを非表示/違反報告)
あお(プロフ) - 橘欅さん» 楽しみに待っていますね！無理はなさらずに、最近は寒いので体を冷やさないようにしてくださいね〜 (2019年11月11日 2時) (レス) id: 03cb9b6635 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：橘欅 | 作成日時：2019年10月27日 1時
