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募る話もあるだろうし、後は二人で話しなさい。という事で、Aは____と同室せざるを得なかった。
その虚無はまるで、蟲柱の継子の少女のよう。口元にうっすらと笑みを浮かべ、人形の如くぴくりとも動かない。言われた事には最低限しか答えない。
「…やっとうざったいのが居なくなった。A…だっけ?僕がわざわざ嫁に貰ってやるんだから感謝しろよな。超絶美人 って顔でもないのに」
「感謝しております____様」
(うるせぇ〜、わざわざ嫁に貰う とか、嫁ぐ人の目の前で言うものじゃないだろ。頭の螺子が二、三本飛んでいらっしゃるようだ)
何かに気付いたように、Aの手を掴んだ。思った通りだ、と言わんばかりに手の甲や平を見て鼻で笑う。
「…っは、お前の手ぇきったねぇな。たこも出来てるし傷だらけじゃねぇか」
女として終わってるだろ と馬鹿にされ、瞳孔が開いた感覚がした。ぴくっ と瞼が動く。
この手は誰かを守る為に、家族を支援する為に受けた傷。誇りでもある傷を、此奴は侮辱した。それをAは許せなかった。それでも堪えた。
「昔、やんちゃした時の傷で御座います」
「…んぁ、お前の親父が言ってたな。鬼殺隊だっけ?ちゃんばら遊びしてるだけのおふざけ集団だろ。良いよなぁ、あんなので金貰えて。どうせ身体売って稼いだんだろ?」
「…んなっ」
やめろ。と自制をかけても、心は騒めいてしまう。握り締めた拳からは血が出てしまった。憤怒の血が垂れる。
自分の事は否定されても、鬼殺隊までも否定されるのは我慢ならないのだ。死線を潜り抜けてきた仲間を否定されるのは、何よりも腹が立つ。
今だって、目を閉じれば思い出す。死んでいった部下は、こんな奴を守る為に命を賭したのか?
否、絶対に違う。彼等は、愛する者の為に戦った。
Aは静かに席を立つ。もう、この空間に居たくなかった。これ以上居たら、顔をぼこぼこにしてしまいそうだったのだ。
「申し訳ありません。体調が優れないので、お暇させて頂きます」
「勝手にしろよ、男女(おとこおんな)」
あくまでも、淑やかに。水面下の怒りを一切見せずに部屋を後にした。
誰もいない荒野や海岸で叫びたい気分だった
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橘欅(プロフ) - 柚葉さん» 此方こそ読んでいただき感無量です!拙い文章ですが私なりに煉獄さんのかっこよさを出したつもりの作品でした!本当にありがとうございます! (2021年4月16日 22時) (レス) id: 008152d6a1 (このIDを非表示/違反報告)
柚葉(プロフ) - やっぱり煉獄さんはカッコいい!!素敵な作品を読ませていただきました!ありがとうございました!!! (2021年4月15日 8時) (レス) id: 33c3d87eb8 (このIDを非表示/違反報告)
めい(プロフ) - コメント失礼します。私名前がメイなんですよ。それで名前ひらがなで読んでったらめいめいメイになりました!面白すぎません笑? (2020年3月18日 22時) (レス) id: f101cde2b9 (このIDを非表示/違反報告)
橘欅(プロフ) - あおさん» ありがとうございます!最近寒いですね〜、私の地方にも白鳥が訪れて来ました。最後まで御愛読ありがとうございました!次回作も是非目を通して下さいね! (2019年11月12日 22時) (レス) id: 4f6b87549d (このIDを非表示/違反報告)
あお(プロフ) - 橘欅さん» 楽しみに待っていますね!無理はなさらずに、最近は寒いので体を冷やさないようにしてくださいね〜 (2019年11月11日 2時) (レス) id: 03cb9b6635 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:橘欅 | 作成日時:2019年10月27日 1時