365日 (ページ33)

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「なんだか豪華だな。」

テーブルに並べたご飯を見て、系さんがつぶやく。

『系さんの好きなものばかりを作ったつもりです。』

「そうだな。」

分かりにくいが、嬉しそうな表情で食べ始めた。
こちらも嬉しくなり、頬が緩む。

『デザートもあるので、お腹空けておいてくださいね。』

「ん？ああ。」

もぐもぐしながら少しキョトンとした表情で頷く系さん。
何だかとても可愛らしくて困る。

食事が終わり、片付けも終えると
生クリームを泡立てる。

成形をして、コーヒーを淹れ
用意していたものをエプロンのポケットに忍ばせた。

『お待たせしました。』

「すごいな。」

5号サイズにはしたけれど
ホールのショートケーキだったので
系さんは目を丸くする。

『系さん、お誕生日おめでとうございます。』

「誕生日？」

何の事だ、というような表情でこちらを見る。

『やっぱり気付いていなかったのですね。
今日は、系さんのお誕生日です。』

にっこりと微笑んで言うと、系さんは再び目を丸くした。

「…そうだったか。
すっかり忘れていた。」

『神倉所長が帰らせて下さったのも
それでだと思いますよ。』

そこまで言って、ようやく合点がいった様子で
系さんは頭をガシガシする。

「クソ！何て回りくどい。」

照れている事をごまかしているようにも見えて
ふふっと笑ってしまう。

『切り分けますね。』

小さめに切り分けたケーキを差し出すと
早速フォークで一口食べてくれた。

「うまいな。
こんなのまで作れるのか？」

『ありがとうございます。
成形が下手なのですが…。

あ、そうだ、系さん。』

フォークを咥えたままの系さんに
エプロンのポケットから出した包みを差し出す。