365日 (ページ18)

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夢と静寂と鼓動② ページ18

忘れていた瞬きをすると、寝室に戻る。
ただ、まだ布団には入らず、畳に寝ころび
上を向いて眠っている、愛しい人を見つめる。

少しだけ明るくなった部屋で、陰影のついた横顔が綺麗で
思わず見入ってしまう。

UDIラボでは、顔にタオルをかけて寝ているのもあり
このまま、こんな無防備な姿を見れるのは
私だけであればいいと、贅沢な望みが浮かんだ。

「…っ…」

いい加減布団に入ろうと、身体を起こそうとした時
突然、彼は眉間にしわを寄せ、うなされ始めた。
とても苦しそうで、思わず身体をゆする。

『系さん…系さん…！』

系さんは、はっと目を覚ますと
短く呼吸をしながら、まだ夢の中にいるように
しばらく空を見つめている。

ゆっくりと顔をこちらに向け、彼の瞳が現実の私を映すと
腕をぐいっとひっぱられ、布団の中へ引きずりこまれた。

彼の心臓が、早鐘のように打っている。

現実を確認しているのか、抱きしめる腕に更に力が入る。
それ応えるように、私は彼の背中に腕を回し
ぎゅっと抱きしめた。

「どこにも行くな」

掠れた声で小さく囁く。
もしかして、有希子さんの夢を見ていたのだろうか。

頭では分かっている。
胸を痛めるのは筋違いだ。
彼が今、私を求めてくれているというだけで十分だ。

今、この時、寄り添うことが出来て
彼がひとりで苦しむ事にならなくて良かった。

何もできないかもしれないが
私のこの体温で、少しでも早く彼の元から
悪夢が去って行ってはくれないだろうか。