365日 (ページ7)

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MONSTER⑦ ページ7

翌朝、ロッカールームに入ると
三澄さんと東海林さんが疲れた様子で
ベンチに座っていた。

『おはようございます。
おふたりとも大丈夫ですか？
随分お疲れみたいですね…。』

「あ、A、おはよ～。」

「おはよ～。いやあ…ね。
昨日、六郎も引っ張って
和山さんと飲みに行ったのよ。」

『それで皆さんいらっしゃらなかったのですね。
楽しかったですか？』

「まぁ、ある意味面白かったね。」

三澄さんが少し含みを持たせた様子で
東海林さんに目配せをする。

「すごかったよ！
ブラもパンツも見えそうな格好で、六郎に攻める攻める。
さすがの六郎も逃げ腰だったね。
店員さんにもぐいぐい行ってたし。」

「悪い子じゃないんだけどね。」

三澄さんは困った表情をしながら
ビニール袋からお弁当を出して食べ始める。

『そうですね。とても素直で
外交的な方だと思います。
私も見習わないと。』

「見習わなくていいよ！
Aはそのままでいて～。」

東海林さんが私の頭をぐりぐりしながら
ぼそっと耳打ちした。

「昨日は話せた？」

思いがけず、一気に顔が熱くなるのを感じた。
ばっと東海林さんから離れる。

『東海林さん…もしかして昨日はそれで…』

私の顔を見て、東海林さんも三澄さんも
満足そうな顔をする。

みなさんに気を遣わせてしまったという事実に
自分の精神の弱さへの罪悪感と
恨みを感じるのと同時に
そこまで思ってくださるみなさんの気持ちを
嬉しく感じてしまい
その葛藤から、うまく笑うことができず
思わず目が潤む。

『ありがとう…ございます…。』

両手で口を覆い、涙はぐっとこらえたが
おそらく、泣き笑いの変な顔をしていることだろう。

三澄さんは、お弁当を置いて
私の頭を撫でてくれた。

「六郎がここにいなくてよかった～。」

東海林さんがいたずらっぽく笑った。