365日 (ページ9)

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呼吸④ ページ9

三澄さんの更なる言及を遮るように、中堂さんが立ち上がる。
みなさんを部屋から追い出すと、ポケットから缶を出して差し出した。

身体をゆっくり起こして受け取ると、暖かいココアだった。

『ありがとうございます。』

中堂さんは、空いたソファの私の隣に座ると
今くれたばかりのココアを私の手から取り
プルタブを開け、また渡してくれた。

『至れり尽くせりですね。』

ふふっと笑って一口飲むと
暖かくて甘いココアが体に染み渡る。

『おいしい…』

はーっと深呼吸すると、頭をぐいっと傾けられ
中堂さんの肩に頭を乗せる格好になった。

『中堂さん』

「なんだ」

『本当に、色々とありがとうございます。
あと5分だけ…こうしていてもいいですか？』

「ああ。
…ただ、今日はこのままゆっくりしていろ。」

『いえ、ちゃんと働かせて下さい。
このまま使い物にならないと、自己嫌悪に陥ってしまうので。
私のわがままですが…』

少し間があり、ふーっとため息をつくと

「…わかった。」

肩に乗せた頭を、やさしく、ポンポンとしてくれた。

『ありがとうございます。』

こんなに心穏やかな時間あるなんて。

目の前が滲んで来たけれど
気付かれないように、このまま乾くのを願う。