365日 (ページ32)

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dedicate to you④ ページ32

『大切にします。』

思わず目を潤ませると、中堂さんも嬉しそうに微笑み
箱からペンダントを取り出すと、私の後ろに回り込む。

「神なんて信じていないがな。
お守り代わりにつけておけ。」

そういいながらペンダントをつけてくれた。
確かに、私達に神様は関係ない。

『でも、今こうしていられる事に対して
数えきれない偶然に、感謝しています。』

振り返り、中堂さんを見上げ、答える。

「ああ…そうだな。」

ふっと笑うと、更に近づいてきて、棚に手をつく。

あんな上の方に手が届くなんて
やっぱり背が高いななんて悠長に考えていると
気がつけば逃げ場がない。

『な、中堂さん…？』

中堂さんの顔が近付き、彼の背中が照明を遮り
影が降りてくる。

『ダメです、人が来ます…』

「今は俺たちだけだ。」

息がかかるくらいの距離になった時
ガチャリとドアの開く音がした。

中堂さんの動きが止まる。

「Aさん？いますか？」

中堂さんは、そのままドアの方を見ると
「チッ、クソが。」
と舌打ちをする。

今度は私の耳元に顔を寄せ
「今日は、店の後うちに来い。」
と囁いた後、顔を離して目を合わせ、にやりとする。

『は、はい…
お邪魔します…。』

「終わったら連絡しろよ。」

中堂さんは、去り際にペンダントにそっと触れ
資料室から出て行った。

自分がダメだと言ったにも関わらず、名残惜しくて
中堂さんが触れていったペンダントを、ぎゅっと握る。
しばらくはオフィスに戻れそうにない。

これからは、祈りも懺悔も、あなたに。