365日 (ページ23)

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MARK② ページ23

片付けが終わり、報告書も書き終えた。
三澄班は、もうお仕事を終えていたので
先にお店に行ってもらうようお願いをしている。

いつもは、この後のバイトがない限りそのまま帰るのだが
さすがに今日は飲食店へ行くので
そのままではまずいと思い、急いでシャワーを浴びる。

シャワー室を出て、エレベーターを待っていると
聞き慣れた足音が近づいてきた。

『中堂さん。お疲れさまです。』

「おう。」

並んでエレベーターを待つ。

ふたりきりなのは嬉しいが
お互いがシャワーを浴びた後というだけで
何となくドキドキして落ち着かない。

ようやくエレベーターが来たので
先に乗り込み、行き先階のボタンを押し
開くボタンを押して待つ。

中堂さんも乗ったところで
閉まるボタンを押そうと手を動かすと
ちょうど中堂さんも、私の真後ろから手を伸ばし
ボタンを押そうとしていたため手が触れた。

『あ、すみません。』

反射的に手を引っ込めようとしたところ、その手を取られ
中堂さんのもう片方の手も身体に回され
そのまま、後ろから抱きしめられた。

『中堂さん…』

心臓の音は確実に伝わっている。
恥ずかしいとか嬉しいとか色々な感情がうるさいが
今は素直にこの状況を受け入れたい。

後頭部を中堂さんの胸につけ、少し身体を預けると
抱きしめる力が強くなった。

私は生まれて初めて
このままエレベーターが着かなければいいと思った。

ただ、当たり前だが、私の願いは叶うことなく
エレベーターは正確に仕事をし
目的階まで私達を運んでくれる。

中堂さんは、私の髪にキスをすると
ドアが開くと同時に
何事もなかったかのように降りていった。

体に残る中堂さんの温もりとにおいに囚われて動けず
ドアが閉まりかけた所で、慌てて開くボタンを押した。