四十七話「立場逆転」 ページ48
諸星さんが組織を脱退せざるを得なくなって日が経ち、俺も歳をとって二十九歳になった。二十八歳のお祝いされたのがつい先日のように感じられる
『……はぁ、いつも通り美味しいコーヒーだね』
榎本「ふふ、そう言って貰えて嬉しいです」
今俺がいるのは、喫茶ポアロ。米花町の毛利探偵事務所の下にあるお店だ。ここのコーヒーは本当に美味しくて、料理だって沢山食べられる。お手頃価格なんだもの
最近ここに通い始めたんだけど理由は単純明快、気晴らしだ。休日が出来ちゃうと彷徨い歩くから、徘徊してるのかって思われることあるし
で、気晴らしに目に入ったここに入店したらどっぷりハマっちゃった訳。榎本さん可愛いし目の保養なんだよね〜
榎本「またいらして下さいね永宮さん!」
『うん、また来るよ〜』
お腹いっぱい食べて幸せな俺はルンルンで家に帰る為帰路に着く。あそこに行った日は気分がとてもいいので、家に着いたらずっと鼻歌歌いながら晩飯作っちゃうんだよね。大量に
暫く歩いていると、前方から見知った顔が近付いてくるのに気付いた。あちらも俺に気付いてパァっと笑顔になるも、後ろからやってくる車に俺は一気に悪寒が走る
『後ろ!!』
伊達「?」
?「伊達さん!!」
俺が声を掛けても不思議そうな顔をした航君は、隣にいた年下っぽい子に引っ張られる。それで理解した航君は引っ張られても車に追突する移動距離に、何かを悟ったような顔をする
『させるか……っ!』
やる事は、見通せた。あの子は身近な人間にとんと甘くなる時がある。今がその時で、その甘さは寛容できないもの
全力で走り、部下っぽい子と航君を同時に押し出す。居眠り運転だったからハンドルが偶然少しだけ逸れ、俺の肩にサイドミラーが掠るだけでなんとか済んだ
が、スピードは出ていた為その掠りが押し出して体勢が崩れていた俺にトドメだと言わんばかりに響く。バランスを崩し、そのまま頭から地面にぶつかった
『いってぇ〜……』
伊達「A先輩!?」
?「きゅっ、救急車とパトカー呼びます!」
勢いよく行ったなぁと身体を起こすも、フラフラしてまともに立ち上がれない。航君に脳震盪起こしているんじゃと言われたあたりで、ああそうかもと納得した
『はぁ……よかった』
伊達「何もよくありませんって!あんたそんな怪我して……!」
『……死人が出るより、マシじゃんか……』
もう身内は失いたくないと呟くと、航君は涙目になって「すみません」と口にした。ほんとそうだぞ航君
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作者名:アンドゥ | 作成日時:2020年3月11日 1時