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四十二話 ページ43

数日後、公安の仕事が終わった帰宅後のニュースで例の爆弾事件が無事に収束したことを目にした。犯人は捕まっていないが、死者は愚か怪我人も出ていないようで一安心

早く犯人特定されると良いなぁと呑気に考えつつ、俺は買ってきたビールの缶を開けた。特に何かあった訳でもないが、不意に飲みたくなったので買ったものだ

『……うん、美味しくない』

こういう時大抵ビールが美味しく感じられない。でも、飲まなきゃやってられないような気持ちになる。不思議だ、悪い事なんて何も無かったのに

ちびちび美味しく感じられないビールを飲んでいると、不意に俺の家のインターホンが鳴った。誰だこんな時間にと思いつつ玄関に向かうと、開けた瞬間扉がこじ開けられ、目の前には銃が突きつけられる

『……荒い訪問だね、ジンさん』
ジン「家に入れろ」
『別にいいけど銃収めてよ。ここ一般住宅街にある普通のアパートだよ』
ジン「ちっ」

懐に銃を納めてくれたジンさんは、右手に持っていたレジ袋を持ち直して家に入ってきた。しんどさと酒でちょっと視界が覚束無いけど、これは多分寝落ちする

取り敢えずジンさんを家にあげ、こんな時間にどうしたのと聞いてみる俺。ジンさんは最初渋ったけど、机の上に沢山ある開けられたビール缶を見てため息をついた

ジン「何があったかはしらねぇが、飲みすぎてる見てぇだなコニャック」
『んー……そんな気分じゃなかったのにね』

飲んじゃった、と付け足すと「早く休めばいいだろ」と俺を運ぶ準備を始めたジンさん。態々来てくれたのにそんな事させられないとそれを拒否するが、その分の詫びは勝手に貰ってやると俺の肩に腕を回してきた

こうなったジンさんって結構言うこと聞かないので、俺はそれに渋々応えよたよた歩きつつベッドに向かった。泊まっていくというからベッドを開け渡そうとしたけど、それも大丈夫だと断られる

『ジンさんほんと何しに来たの……』
ジン「……なんでもいいだろ、早く寝やがれ」
『あい……』

モゾモゾと布団の中でいい感じの体制を模索し、いい感じを見つけた俺は瞼を閉じてそのままスっと意識を手放す。最後の方、少しだけジンさんの溜め息が聞こえた気がした

────────────

(数日前、お前はサツの野郎と何をしてたのか問いただしに来たのにこのザマだ)

(聞くに聞けない、辛そうな顔。何かあったのかすら聞けそうになかった)

(……たく、取り扱いの難しい、厄介な奴に心を委ねちまったな)

四十三話「シルバーブレットの弱点は」※タイトル変更→←四十一話



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作者名:アンドゥ | 作成日時:2020年3月11日 1時

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