二十二話 ページ23
どんな感情を揺さぶったのかは知らないが、あの時シェリーが流した涙は安堵や喜び等で悲しみなどでは無かった。だがまぁ、その涙のお陰で俺はまだまだ暗躍出来そうである
『どうだった?許可降りた?』
ジン「コニャックの纏めた研究進行度の資料と今回の件を伝えたら、監視付きでの謁見を許可するだと」
『そりゃ良かった。あんな若い子にすることじゃないもんね』
ジン「てめぇは女子供に優しすぎる」
ジンさんの言葉に否めないですと苦笑いすると「監視役はてめぇだ」と付け加えて去っていった。どんだけ俺信用されてるんだろうと眉を下げつつ、今回の成果を伝えるべく一旦家へと帰る為車の方へと歩く
車に着けば、盗聴器やカメラがないことを確認し電話をかける。周りに組織の人間もいないようなので、警戒はしつつ相手の反応を待った
〈はいもしもし?〉
『宮野さん?とりあえずOKでしたよ』
〈!詳しく聞きたいから家に来てください!〉
『はーい』
電話で話すのは少し怖いので、それは助かると俺は車を出した。いやぁ、よく手紙の内容とかは知らないけど感動の再会になりそうじゃん?良かった良かった
《時が経ち》
俺や明美さんの都合の着く時にシェリー事志保ちゃんの元へ赴き、二人の姉妹は涙ながらの再会を果たした。その様子を眺めつつ俺は棒のついた飴を口の中で転がす
カメラの有無を確認し、盗聴器の有無も確認した所で二人は抱き合うのをやめて話に花を咲かせ始めた。女子トークも問答無用で行うもんだから精神凄いな、とある意味関心する
明美「あぁ、それでね!今ここにいる彼なんだけど悪い人じゃないのよ?私に気を使って今回のことを計画してくれたの」
シェリー「えぇ、うっすらそんな気はしてたの。前にあった時対応が黒くなかったから」
その分謎は深まったけど、といったシェリーに一瞬視線を向けられて俺はにっこり笑う。愛する家族に会いたいという気持ちを無下にするなんて俺にはできないからね
なんてやっていると、ぴぴぴぴっと面会可能時間の終了を知らせるベルがポケットの中で響いた。肩を竦めて宮野さんを見ると少し残念そう
明美「……話し足りないのに」
シェリー「また会えるわ。彼がいる限りね」
明美「ふふ、それもそうね!また会いましょ志保」
シェリー「えぇ、お姉ちゃん」
別れを告げる二人の表情はとても晴れやかで、どこか不安の感じるものはなかった。今はこのままでいいだろう
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作者名:アンドゥ | 作成日時:2020年3月11日 1時