二十話 ページ21
宮野さんと連絡先を交換してから毎日のように彼女から連絡が来る。とても暖かな内容だが、時折辛そうな内容も送ってきていて少しばかり心配だ
妹ことシェリーの事が辛い内容のメインなのだが、いつも理由をつけては会わせて貰えないそう。酷いなぁなんて思ったが、その会わせてくれない人の名前にジンさん上がっててそれは笑っちゃったな
で、今日は宮野さんの代わりにシェリーの様子を見に行ってその報告をする役目を承った。まぁ彼女から言われたんじゃなくて、俺が彼女から一心に愛情を受けるシェリーに興味持っただけなんだけど
ジン「てめぇが研究に興味があるとは思わなかったぜ、コニャック」
『ふと思ったんだよねー、薬ってどんな感じで作られてんのかなーって』
それなりの理由を適当に取り付けつつ、俺はジンさんの案内の元部屋にやってきた。俺は相当信頼されているから重要なこの場所に連れて来て貰えたが、ここに来る前のあの重厚な警備じゃ宮野さんは来れないだろう。それも踏まえた愚痴だった訳だ
ジン「おいシェリー、てめぇと今後仕事があるかもしれねぇコニャックだ。挨拶はしておけ、しばらく離れる」
シェリー「あら、貴方が組織の人間と私を二人きりにするなんて珍しい。なんの気まぐれ?」
ジン「……無駄口叩かねぇで淡々と仕事をこなせ」
シェリーの質問には返答せず、ジンさんはスタスタと部屋を後にしていった。彼女はそれを見送ってから俺に目を向ける
シェリー「噂は耳にしてるわ。相当信頼されてたのね、あの男から」
『ちょっと複雑だけどね』
シェリー「?」
『こっちの話だよ』
スパイとして信頼される立ち位置に入れるのはいい事だ。だが相手のいい所を知れば知るほど罪悪感は湧く。その度に俺は心の中で「こいつらは私利私欲で人を殺すんだ」と念じて気を保つ
それくらいじゃないと、俺は情のある相手にはとても手厳しい事は言えないから。罪悪感ですら湧いてしまう時もあるし
『ここでは何してるの?俺も手伝うことあるかもだから少しだけ教えてよ』
シェリー「……えぇ、そうね。仕事なら」
カメラは仕掛けられてないのを確認したので、今回の本題である手紙を懐から取り出した。それを見て察してくれたのか手紙の事は口にせず話に乗ってくれる
色々研究の話をしつつ、他の誰かか近づいてこないかも注意して手紙を開くのはとても疲れる。でもまぁ俺が自分で請け負った話だし、この子相手なら何とか乗り切れそうだから頑張ろ
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作者名:アンドゥ | 作成日時:2020年3月11日 1時