桜樹の守人 (ページ49)

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｢じゃあまずはオニオンヘッド三等兵だけで、次々に襲ってくるゾンビを倒すシーン行こうか！｣
あの後急に服と台本を渡され、着替えると外の森へと連れてこられた。
｢ちょっと待ってください！どうやってゾンビを倒せば！？｣
｢この世界ではカツラを取るようにゾンビの髪の毛を取って、スキンヘッドにするとゾンビが死ぬことになっている！｣
｢ええっ！？｣
｢では、シーン58、アクション！｣
マタロウ君は固まって、ゾンビも避けられるほどにゆっくりと進んでいく。
｢えいっ！やあっ！｣
｢ガチガチじゃねえか……。｣
｢しょうがないなぁ。｣
サン太夫君はそう言うと、カメラに映らないようにマタロウ君の目の前にゾンビを押して運ぶ。
｢えーいっ！｣
｢ウワァァァ……。｣
｢やったぁ！｣
ようやくゾンビを一体倒せて、マタロウ君も喜んでいる。だが、その次が続かない。
｢なーにやってんだ！｣
見かねたジンペイ君も走ってゾンビのカツラを取る。
｢うおーっ！気持ちいいー！｣
と言うと、ゾンビのカツラをつけたり取ったりまたつけたり……。
｢最っ高！｣
｢何遊んでんの！｣

｢次のシーンは農場でゾンビに囲まれて、大ピンチからの少尉に助けられて脱出！アクション！｣
またまた別のシーン。今度は私も出番なので、4匹はその辺で遊ばせておく(遊ぶかどうかはともかく)。マタロウ君が柵へ走って追い詰められる演技をする。
｢はあ、はあ……。｣
｢ア"ァァァー！｣
｢オニオンヘッド三等兵。背中ががら空きだ。軍学校の教えを忘れたのか？｣
柵の外からマタロウ君を狙うゾンビを倒し、柵を乗り越えて彼の横へ立つ。口調もいつもより強めだ。
｢あっ、キルシュ少尉！いや、まだまだ出来ます！とりゃーっ！｣
マタロウ君はそう言うやいなや、ゾンビに飛びかかって倒していく。
｢ああ、やはり私の目に狂いは無かったようだな。その調子で全ゾンビを倒すぞ！｣
｢はいっ！｣
コンビネーションを発揮して、私たちはそのまま5割程のゾンビを一掃する。だが、マタロウ君が次に倒そうとしたゾンビが問題だった。