桜樹の守人 (ページ37)

今日:16 hit、昨日:0 hit、合計:2,308 hit

14 ページ37

紫のもやが収束し、出てきたのはあのノート。それをメラ君が拾う。
｢やれやれ。こんなノートは燃やした方がいいな。｣
右手にノートを持ったまま、左手を妖気で燃やして彼が言う。
｢やめてくれっ！｣
｢後藤先生…！｣
後藤先生がこちらへ駆け寄り、言う。
｢彼と話をさせて欲しい。彼と私は友達なんだ！｣
｢ケッ、俺の事を捨てたくせによぉ！今更友達なんて……。｣
｢私は君を捨てたつもりは無い。｣
｢！｣
話を聞くに、後藤先生の母親が気味悪がってノート君を捨ててしまったようなのだ。ノート君は信じられないと言うが、後藤先生は彼のおかげでいじめっ子と打ち解けることが出来、感謝していると言う。
そして、昔の先生のような生徒に声をかけてはノート君のように愚痴などを聞き、いじめ解決のお手伝いをしているというのだ。
｢あれって、先生が責められているんじゃなかったんだ…。｣
サン太夫君たちは知っていたようで、そんな呟きを漏らす。
｢私は、僕は君がいたから立ち向かう勇気をもてたんだ。だから心から感謝してる。ありがとう。｣
｢そういう事……そういう事はぁ！！｣
そこでノート君は禍々しい姿から可愛らしい姿へと変化する。
｢はやく言えよぉ、進ぅ。｣
泣きながら彼は答え、そして、泣きながらも笑って先生の胸元へと飛び込んだ。
｢ごめんよ、ノート君！｣
その時、一瞬だけ『中学生の男子と今より少し新しめのノート』が見えた気がした。