桜樹の守人 (ページ32)

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｢……ところで、このノートどうしようか？マタロウ君。｣
｢消しゴムで名前を消せば、ノートの効果は消えるはずだよ。｣
急に後ろから話しかけてきたのは、確か後藤先生？
｢やってみて。｣
先生に言われ、とりあえず名前を消す。
ところで、後藤先生の下の名前ってなんだっけ？sから始まるなら、このノートはきっと……。

10分ほどたった後。しっかりと制服を着たジンペイ君が、サン太夫君とフブキちゃんを連れてやってきた。
｢よくやった、マタロウ！A先輩！｣
｢根民君はどうしたの？｣
｢彼は反省してたし、帰したよ。ジンペイ君にもごめんって言ってた。……ちょっと気まずかったし。｣
｢気まずい？｣
｢そ、それはともかく、ノートの件は、僕たちと後藤先生に任せるって。｣
少し慌ててマタロウ君が誤魔化す。
｢てことは、後藤先生も知ってたんですね。｣
｢実はそのノートは昔、私が使っていたノートだったんだ。｣
……思い出した。先生の名前、後藤進だ。だからGSノートだったんだ。
それから先生は語り出した。
この学園に通っていた先生はいじめられっ子で、ノートに思ったことを書いていた。そのうちノートと会話出来るようになり、彼は唯一の友達になったそうなのだ。
｢それがどうしてゲスノートに……。｣
｢っ、全部こいつのせいだっ！｣
いきなりノートから腕が生え、後藤先生を指さす。
｢私のっ！？｣
｢自分のした事を覚えてねーのか、あぁ！？俺は全部受け止めてやったのに、こいつはいじめっ子と仲良くなった途端、手のひらを返したように捨てやがったんだ！｣
｢それは誤解で……！｣
そのとき。また物陰から黒い虫のような何かが飛び出して、ノート君に入り込んだ。
｢裏切り者……裏切り者裏切り者裏切り者！！！裏切り者ー！！！！！｣
そう叫んでノート君は、【怨霊ゲスパイダー】に変化した。