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八話 ページ10

『ウィラさんっ』





「あら、A」







先程ウィラさんが発言した場所辺りを歩き回っていれば、暗号機を触っている彼女を見つけ駆け寄る。
向こうも驚いたような表情で暗号機から手を離しこちらを向く。







『見つかって良かった……あの、これを』







あの二人と同じように、ポシェットから人形を取り出せば彼女に差し出す。
首を傾げながらだが受け取り、不思議そうに人形を眺めている。
同じように質問をされるだろうと思い、先に自分から説明をすれば、すぐに納得してくれた。




全員深くは聞いてこないため少し有難い。








「ここの暗号機あと半分位なの。Aは先に、そこの建物の中にある暗号機の解読を始めといてくれる?」







『あの建物内ですね。分かりました』








ウィラさんと別れ、先程とは違う小さな建物の方へと向かっていた時……









『……っぐ』








鐘の音が聞こえたかと思えば、自身の左半身に鋭い痛みが走り蹌踉ける。
全員の位置を確認すればナワーブさんの場所が分からなくなっている気付き、彼が今攻撃を受けたのだと察した。









…にしても、予想外の痛みに口角が上がってしまう。







久しぶりだ。



久しぶりに感じた痛み。



やはり自分はこうでなくては。









長年与えられた痛みはいつしか彼女の人格を歪めてしまっていた。
痛みを感じれば、創り上げられた醜い感情を震わせる。
理性を保ちながらも体に響く痛みにゾクリとしたものを感じた。









目的であった小さな建物に入れば、真ん中に置かれた暗号機に触れる。
袖から覗く左腕に巻いた包帯。
ジワジワと赤く染ってきていることに気づき、体を確認しようと手を離した瞬間。









『いっ…!?』







バチッと大きな音と共に体が痺れる。
調整に失敗してしまった。



そういえばこれはハンターにバレる恐れがあるとか……。








「おや、見ない顔ですね」






『わっ?!』








突如として背後から聞こえた声に振り向けば、やたらと身長の高い人物が立っていて身を引く。
その身長に負けない程に長い……爪、だろうか。
嫌でも目に入り背筋に冷たい汗が流れる。
そこで思い出した。
墓場でナワーブさんから聞いたこと、見たものを。

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夏目(プロフ) - 続きってないんですか? (2019年7月18日 15時) (レス) id: 6f15b8d456 (このIDを非表示/違反報告)
蜂蜜漬け(プロフ) - りょうです。さん» ありがとうございます!そう思って下さっている方が居ると知れて嬉しいです^^* 励みになります! (2019年2月28日 19時) (レス) id: 414c0d4d99 (このIDを非表示/違反報告)
りょうです。(プロフ) - 面白いです!更新頑張ってください!!待ってます!! (2019年2月23日 23時) (レス) id: f9bb48da83 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:蜂蜜漬け | 作成日時:2019年1月29日 5時

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