二十二話 ページ24
人形を見れば眉を下げている彼に疑問を抱く。
受け取りたくない、ということだろうか。
だとすれば 何故？ 理由が、意味が分からず彼に尋ねる。
『えっと、どうしてですか？』
「その人形を持っていると、怪我をした際にAさんが代わりになるんですよね……」
『はい、その通りですよ。これさえあれば、一度は血を流さず、痛い思いをしなくて大丈夫ですからっ。安心して下さい』
そう、これがあれば一度きりだが体に傷がつくことは無い。
皆が嫌がる痛い思いをしなくても済む。
とても嬉しいことだろう。
しかしイソップさんの声は、どこか悲し気だ。
「……Aさんは、怖くないんですか。身代わり、なんですよ…？ 他の人が、それで喜ぶはずが……」
『喜んでくれますよ？ だって私は、身代わり師なんですから』
人が苦手すぎてか、話すのに慣れていないからか……はたまた別の理由か、声が震えていたイソップさんの言葉を遮り、自分は口を開いた。
想像で語るのは辞めてもらいたい。
これまでずっと、皆喜んでくれていたのだから。
利用出来て嬉しいのだろう。
人間とはそういう生き物だ。
辛いことは他人に押し付けたがる。
だから、表面上はどう繕おうが内心嬉しく思っているのだ。
だから奴らは何度も私を頼ってきた。
利用出来るまで……
場所は変わっても、きっと同じ。
一言言うならば……
『お役に立てて、私も嬉しいです』
「っ……変なことを聞いて、すみません。 解読、しに行きますね……」
使えない奴だと思われないため、笑顔で答えたのだが……何か違っただろうか。
イソップさんは人形を受け取ると、早歩きで立ち去ってしまった。
正しく答えたつもりなのだが、何か不満でもあったのだろうか。
様子がおかしかったように感じる。
自分も人間だが、人というのは面倒な生き物だ。
『……解読するか』
先程までとは違い何の表情も浮かべず一人呟く。
クルリと振り返れば、暗号機に向き直り解読の続きを始める。
何の感情も持っていなさそうに見えるその様子を、一羽がじっと見つめていたことには気づかないまま…。
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夏目(プロフ) - 続きってないんですか？ (2019年7月18日 15時) (
レス) id: 6f15b8d456 (このIDを非表示/違反報告)
蜂蜜漬け(プロフ) - りょうです。さん» ありがとうございます！そう思って下さっている方が居ると知れて嬉しいです^^* 励みになります！ (2019年2月28日 19時) (レス) id: 414c0d4d99 (このIDを非表示/違反報告)
りょうです。(プロフ) - 面白いです！更新頑張ってください！！待ってます！！ (2019年2月23日 23時) (レス) id: f9bb48da83 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：蜂蜜漬け | 作成日時：2019年1月29日 5時
