22 戦闘訓練[5] ページ26
不安は見事的中した。
「敵役似合い過ぎてる・・・」
「般若みたいな顔してるもんね」
うわーと零しながら隣の葉隠が身震いした。
大爆発で崩れたビルには大穴、砂埃が立ち込める中に爆豪と出久の2人が対峙している。
立っている爆豪は無傷、爆破の衝撃で腰をついた出久は既にボロボロだが幸いな事に、大きい怪我はまだない。
ただ、想像していたよりもずっと実戦に近い形で行われていることに関心しつつも、敵が保有している核を守り、ヒーローがそれを奪還する、そんな形式は上で起きている爆発と共に何処かに吹き飛ばされたらしい。
[ガキの頃からずっと!!そうやって!!!俺を舐めてたんかテメェはぁ!!!]
「私怨が凄い」
盗み聞きは悪い事だとは知っている。
ただ、知っているからなんだ、と言う話だ。ヒーロー目指してここにいるわけだが、こちとら生まれは良くとも育ちは悪党、悪しからずって感じだ。
少し耳に意識を集中させただけで、オールマイトのインカムから、そして地上階からも直接聞こえてしまう。これを聞かずにいると言うのも逆に神経を使うので案外難しい。
と、言い訳はこのくらいで良いとして。
[君が凄い人だから、勝ちたいんじゃないか!!勝って!!超えたいんじゃないかバカヤロー!!!]
ヒーローになる、その目的以外で初めて出久の激情を見た。
彼と出久との間に何があるのかなんて良く知らない。だけど、目の前の爆豪勝己に勝つことが出久にとって進んでいく為に必要なことで、爆豪はきっと今、私と同じ違和感を感じている。
その違和感、彼にとっては不快感を晴らすのが必要な事なんだと思った。
「先生!!やばそうだってコレ!先生!」
切島がモニター越しの異変に気づいてオールマイトに中止を呼びかける。
しかしオールマイトもまた、これが出久にとって必要なことだとわかっていたのかも知れない。
マイクを持つ手は躊躇いで震えて見えた。
「双方、中止・・・」
「いや、」
大丈夫、その言葉が紡がれる前にビルが大きな音を立てて揺れた。
爆豪は訓練の目的を忘れていても、出久は忘れてなどいなかったのだ。
タイマンではなく、あくまで訓練としての勝利を狙う。振り上げられた拳によって破壊される天井。
上階に控えていたお茶子の個性で瓦礫は無数の砲弾となり、飯田君は防御に徹するしかない。その隙を突いて核兵器を回収。
勝者がズタボロ、敗者が無傷。そんな異様な光景で、1組目の戦闘訓練は終わりを告げた。
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はるにゃー(プロフ) - わかります...!! (2018年3月14日 20時) (レス) id: a8130d6d57 (このIDを非表示/違反報告)
ておどーる(プロフ) - はるにゃーさん» コメントありがとうございます!良いですよね、、、ハスミンのサイコパスみが最高です( ˘ω˘ ) (2018年3月14日 20時) (レス) id: 5fabf8878f (このIDを非表示/違反報告)
はるにゃー(プロフ) - 悪の教典面白いですよね! (2018年3月14日 20時) (レス) id: a8130d6d57 (このIDを非表示/違反報告)
雪兎(プロフ) - ておどーるさん» 次からは気を付けた方がいいですよ〜更新頑張ってください! (2018年3月13日 21時) (レス) id: b712ea93b0 (このIDを非表示/違反報告)
ておどーる(プロフ) - 雪兎さん» 御報告ありがとうございます!確認不足申し訳ないです、解除いたしました。 (2018年3月13日 21時) (レス) id: 1b153ac47e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ておどーる | 作成日時:2018年3月13日 20時