13 シャイボーイ ページ16
「ごめんね、待った?」
「全然!よし、じゃあいこ!」
急遽開かれたドイツ語講習会もお開きとなって、人に囲まれた照れからの熱を冷まそうとコーヒーを買いに戻ってきた頃にはお茶子だけが教室の机にもたれかかって立っていた。
帰っててもいいよ、と一応声はかけたのだかこうして待ってくれると嬉しいものだな、とリュックを背負いながら少しはにかむ。
お茶子的にはまだ終わっていなかったらしい講習会を他愛ない会話と織り交ぜながら校舎をでると、少し前に出久と飯田君が並んで歩いている。
それにお茶子気がついたようで、くるりと振り返ったかと思えば「行こ!」と腕を引っ張られた。
「お二人さーん!駅まで?待ってー!」
つってけてーと歩くお茶子の右腕には無抵抗で無表情、されるがままのA。
(麗日さん!そしてAちゃん!?)
「君は無限女子」
そういえばさっき直接的にはお茶子と飯田君は話してなったっけ、と引きずられるまま思い出す。
とはいえ、どんなネーミングセンスをしてるんだろう。確かのソフトボール投げのあれは衝撃的だったけれども。
「麗日 お茶子です!えっと飯田天哉くんにん緑谷・・・デクくん!だよね!!」
デク!?とお茶子が発した名前に出久が驚いていると、隣にたつ彼女は「だって爆豪って人が」とテストの時の一悶着を思い出していた。
ああ、確かにヘドロの時も今日も彼は出久のことを”デク”と呼んでいる。
「あの・・・本名は出久で・・・デクはかっちゃんがバカにして・・・」
「蔑称なのね」
なるほど、今まで”いずく”の名前をどう書くかは教わってなかったけれどきっと「出る」に「久しい」と書いてデクと呼ばれてたんだろう。
「えーそうなんだ!!ごめん!!でもデクって・・・頑張れ!!って感じでなんか好きだ私」
「デクです!!」
「緑谷君!!」
「わあ」
単純、と思わず笑ってしまった。
半年かけてようやく「ちゃん」付け、一年かけてボディータッチが多少マシになってきた彼だから致し方ないとは思うけれど。
”青春というものはアルコール抜きの酩酊状態である”とは、よく言ったものだ。
「浅いぞ!蔑称なんだろ!?」
「コペルニクス的回転・・・」
「そうだね、それでも地球は回ってるね」
ポン、と出久の肩に手を添えると顔から蒸気が出そうなくらいに赤くなった顔がこっちを一瞬だけ見てそらされた。
日本人、というか出久のシャイさは最早病的かもしれない。
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はるにゃー(プロフ) - わかります...!! (2018年3月14日 20時) (レス) id: a8130d6d57 (このIDを非表示/違反報告)
ておどーる(プロフ) - はるにゃーさん» コメントありがとうございます!良いですよね、、、ハスミンのサイコパスみが最高です( ˘ω˘ ) (2018年3月14日 20時) (レス) id: 5fabf8878f (このIDを非表示/違反報告)
はるにゃー(プロフ) - 悪の教典面白いですよね! (2018年3月14日 20時) (レス) id: a8130d6d57 (このIDを非表示/違反報告)
雪兎(プロフ) - ておどーるさん» 次からは気を付けた方がいいですよ〜更新頑張ってください! (2018年3月13日 21時) (レス) id: b712ea93b0 (このIDを非表示/違反報告)
ておどーる(プロフ) - 雪兎さん» 御報告ありがとうございます!確認不足申し訳ないです、解除いたしました。 (2018年3月13日 21時) (レス) id: 1b153ac47e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ておどーる | 作成日時:2018年3月13日 20時