【ヒロアカ×喰種】不思議の国のStraySeep 第2章

10 個性把握テスト[7] ページ13

痛みを堪えて持久走に挑む出久を見てるのはちょっと辛かった。
お茶子と2人、「大丈夫かな」なんて言いながらも結局どうすることもできないまま全種目が終了した。

「んじゃパパッっと結果発表。口頭で説明するのは時間の無駄なので一括開示する、因みに除籍はウソな」

「・・・ぅえっ？」

変な声が出た。

「君らの最大限を引き出す合理的虚偽」

隣に立っている出久は驚きの余り原型すら残していない。
ハッと鼻で笑う相澤は出久には保健室利用書を、皆には順位表を開示してチャイムの音と共にさっさと帰ってしまった。

「なんなの･･･」

「なんなんだろうね･･･」

その黒い後ろ姿を見つめて暫し呆然とするしかなかった。
除籍処分と言い放った相澤の顔は、確かに本気の顔だったのに。
何が彼をそうさせたのか、それはきっと隣に立つ最下位の出久なんだろうなぁとなんとなしに思った。
指を1本、ズタボロにしながらも必死に痛みをこらえて「まだやれる」と言った彼。
オーバーワークになるまで必死に特訓したあの時、そして誰よりもヒーローだったヘドロ事件。
次々蘇る出久の顔はただ真っ直ぐ前だけを見ていた。

「バレたく、ないなぁ」

出来るならこれからずっと彼の側で、彼と共に頑張りたい。初めて自分を救ったヒーローに、失望されるなんてことあって欲しくはない未来だ。
予期せず現れた些細な障害は、思いのほかAの心を揺さぶった。

「Aちゃーん！！置いてっちゃうよ！！はよ！」

「ん！･･･今行く！」

着替えに戻る女の子達の最後尾でお茶子が待っている。
保健室に向かう出久に「お大事にね」と残して走って追いかけた。
「初日からハードだね！流石雄英！」なんて笑うお茶子と一緒に歩きながら、考えすぎの思考を無理矢理頭の隅に追いやる。
下手を打たなければいい、そう自分に言い聞かせて。隣で笑うお茶子とクラスが一緒になった出久、それが等分の安定剤だ。

ーーー
夢主ちゃんテスト順位は轟くんと一緒の2位
かっちゃん「(´･皿･`)ｷﾞﾘｨ」

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