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9 個性把握テスト[6] ページ12

「どーいうことだこら、ワケを言えデクてめぇ!!」

「!!」

余計な考えが頭の中を支配していたせいか気づくのが遅れてしまった。
前にいた爆豪は怒鳴り散らし、手から爆発を生じさせながら出久へと迫って行く。止めなくては、と体が動く前には既に包帯の様なものが彼に巻き付いていた。

「んだ、この布固っ・・・!!」

出久に手が届くギリギリのところで捕まった爆豪。見かけからはただの包帯にしか見えないが、かなりの耐朽性があるらしくギチギチと軋む音が聞こえる。

「炭素繊維に特殊合金の鋼線を編み込んだ捕縛武器だ、ったく何度も個性使わすなよ・・・俺はドライアイなんだ!」

ギッと爆豪を睨みあげた相澤。その表情の迫力の割には余りにも勿体無い台詞だった。ああ、だから目がそんなに充血してたのか、と妙な納得を感じつつ苦笑いが溢れる。「次、準備しろ」という相澤の言葉で騒動は強制的に終了させられ、トボトボとした足取りで出久が戻ってくる。

「指、大丈夫?」

「あ・・・うん・・・へぁっ?!」
 
お茶子の言葉に出久はドギマギしながら答える。その後ろから覗き込む様にして出久を見ていたけれど、胸に抱える様にして庇われている指の具合がよくわからない。傷に触らない様に、手首をそっと掴んでみると出久は素っ頓狂な声を上げた。浅黒く変色してパンパンに晴れた指はマシュマロマンみたいだ。人間はこういう時すぐに治らないから辛いんだろうな、と眉を顰めた。

「・・・Aちゃんあの・・・そんなみられるとそのっ・・・・」

「あ、ゴメン、余りにも痛そうだったから。早く見てもらわないとね」

あんまりじっと見ていたせいか、出久が訪ねてきたのでパッと手を離した。お茶子と生真面目君に心配されながら、出久は持久走を行うトラックへと向かっていく。
 その後ろを歩きながら、呆然と立ち尽くす爆豪をチラリと盗み見た。さっき叫んだ言葉が気になって首をかしげる。ヘドロの時と言い、今朝と言い、出久の知り合いには違いないんだろうけれど、彼は今までずっと出久が無個性だって思い込んでいたのだろうか。

「なんかな・・・、」

なんだろう、出久の個性は使うたびに大怪我をしている。反動が大きい個性だから必要に迫られた時にしか使わないのか。そしてそれを見る機会が爆豪には一度も無かった。
 理由を自分の想像で勝手にでっち上げてみてもイマイチパッとしない。靴を左右逆に履いているみたいな違和感を引き摺りながら出久達の背を追った。
 

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設定タグ:ヒロアカ , 東京喰種 , 相澤   
作品ジャンル:アニメ
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はるにゃー(プロフ) - わかります...!! (2018年3月14日 20時) (レス) id: a8130d6d57 (このIDを非表示/違反報告)
ておどーる(プロフ) - はるにゃーさん» コメントありがとうございます!良いですよね、、、ハスミンのサイコパスみが最高です( ˘ω˘ ) (2018年3月14日 20時) (レス) id: 5fabf8878f (このIDを非表示/違反報告)
はるにゃー(プロフ) - 悪の教典面白いですよね! (2018年3月14日 20時) (レス) id: a8130d6d57 (このIDを非表示/違反報告)
雪兎(プロフ) - ておどーるさん» 次からは気を付けた方がいいですよ〜更新頑張ってください! (2018年3月13日 21時) (レス) id: b712ea93b0 (このIDを非表示/違反報告)
ておどーる(プロフ) - 雪兎さん» 御報告ありがとうございます!確認不足申し訳ないです、解除いたしました。 (2018年3月13日 21時) (レス) id: 1b153ac47e (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ておどーる | 作成日時:2018年3月13日 20時

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