2 異変[1] ページ6
「痛い痛い痛い、キツくやり過ぎなんだって」
「だって君、ゆるく縛るとすぐに取っちゃうじゃにゃい」
思い当たることが多すぎて、その言葉になにも返せないA。
はぐらかすようにコンビニで手に入れた本日二杯目の缶コーヒーを喉に流し込んだ。
電車が揺れるたびに、引っ張られている髪の束が痛い。
「せっかくやってもすぐとっちゃうんだもんにゃ、可愛いのに」
「だってなんか気になるんだもん」
入学する前、外出する度にチェシャは髪を弄ってやっていた。
しかしいざ出かけようとする時にはチェシャの努力も虚しくいつも通りの無造作ヘア。
最近は諦めて何もしなかったが、目が覚めてきたとはいえ今日のポンコツ具合ならいけるかもしれない、と電車の中だが腕が鳴る。
「はい、できた。外しちゃダメだよ」
「・・・ぁい」
２駅ほど通過したところでチェシャがポンとAの肩を叩く。
邪魔にならないようにとキッチリまとめ上げられたお団子ヘア。
ただ、お団子自体は緩く崩されていてその抜け感が可愛らしい。
Aは窓に映る自分の姿に首を傾げながら、渋々といったように頷いた。
●
「ちょっと恥ずかしいんだよなあ」
だいぶはっきりしてきた頭で、チェシャと別れたAは４日ぶりの高校の廊下を一人歩いていた。
チェシャにやられるようになるまで、髪の毛をいじった事なんてない。
似合っているのかどうかもよくわからないから、なんだか落ち着かないのだ。
うなじあたりの後れ毛を弄りながら、もう意識しなくても教室に向かう足に移動は任せてポケットに忍ばせていた四角くて薄っぺらいのを握る。
オールマイトからもらった携帯だった。
ちょっとポケットから取り出して眺めるだけで頬が緩む。
皆のライムだかレモンだかわかんないけど、それを交換したい。
今日はそのために学校に来たと言っても過言ではないぐらいだ。
ワクワクとした気持ちを押し込んで既に懐かしいと感じるザワつきに胸躍らせながら、教室の扉を開ける。
「おはよ・・・・」
カラカラと開けた扉がやけに虚しく聞こえた。
教室に踏み込んだ瞬間、その喧騒が嘘だったみたいに静かになったのだ。
ただ不思議なことに、お茶子達女子が一人もいない。
「・・・え」
どうしたの、皆。
その言葉は喉の途中で引っかかって、溢れた唾液と共に押し戻された。
Aはクラスメイトの顔を順に見て行くが、皆ばつの悪そうな顔をしてその目をそらして行く。
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ゆあ - すみません。いくら探してもツイッターのアカウントが見つけられないんです。どうやって探せばいいんですか？ (2019年9月5日 21時) (
レス) id: b0f6bda559 (このIDを非表示/違反報告)
有栖(プロフ) - めっさ面白い！続きが見たいいぃぃぃぃ!!!!! (2018年9月9日 0時) (レス) id: e65e94b2de (このIDを非表示/違反報告)
小幸(プロフ) - 面白かったです！これからも頑張ってください！！リアルの方でも頑張って！！ (2018年5月18日 2時) (レス) id: 4d03ac968f (このIDを非表示/違反報告)
白ちゃん - 作者様愛してます！この話大好きです！更新頑張ってください！ (2018年5月4日 21時) (レス) id: a5c2574b45 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ておどーる | 作成日時：2018年4月7日 0時
