1 いつもと逆の朝 ページ5
「おはよう、A。ぐっすりだったねぇ」
「おはよう、・・・ああ、寝坊だ」
目を凝らして、時計をみれば何時もの起床時間より２０分程遅い。
チェシャはとっくに着替え終わり、優雅にモーニングコーヒーを味わっていた。
昨日は色々ありすぎたせいなのか、きっと疲れたんだろう。
なんとかずっこけないようにAは一段一段階段を慎重に降りて、洗面所に向かう。
洗顔をして歯ブラシを口に突っ込んだままソファーの背もたれに体を預ければ、また寝入ってしまいそうだった。
「こら、本当に遅刻するよ」
頭をペシリと叩かれて、ほどなくすると湯気が立つコーヒーが机に置かれる。
これじゃあいつもと逆だ。
「なんかね、久しぶりに夢見た・・・よく覚えてないけど」
夢うつつでうわ言のように呟いたAの言葉に、チェシャは興味なさげに「へえ」と言うだけだ。
「確か、同い年くらいのね・・・似てる子。白い髪の子と話してた気がするんだけどさあ・・・・」
「・・・・」
うつらうつらと船を漕ぎ始めたAを見て、チェシャは仕方ないとでも言うように息を吐く。
いつも皺ひとつなくハンガーにかけられているAの制服を適当にとりこんで、その寝ぼけた顔に叩きつけた。
「苦しい」
「じゃあ早く着替えるにゃ」
「・・・校則違反の塊の癖に、無遅刻無欠席とは・・・真面目なのか不真面目なのか・・・」
「僕はいたって真面目だよ」
「鼠に飼われる猫ってうける」
「はいはい、羊の君も一緒だよ」
チェシャの首にかけられた黒い首輪をなぞってほくそ笑むAをさらっと受け流して、ブレザーを着せ口に収まっている歯ブラシを抜き取って洗面台に連れ込む。
「リュックは？」
「これ」
「それ上履き入れ」
珍しいAのポンコツ具合に笑いを堪えながら、机の下に隠れていたリュックを背負わせて家の玄関に当たるシャッターまで引きずって行く。
「はい、＊バーラムユーバーラムユー。もう、このままだと本当に遅刻するにょ！コンビニ寄ってパンも買うんでしょ！」
「＊羊毛を着た同胞たちに変わらぬ忠誠を、変わらぬ愛を〜・・・」
ああ、今日は本当にダメかもしれないな。
とかし忘れたボサボサの髪のままのAを見て、チェシャは困ったように肩をすくめた。
＿＿
＊バーラムユー〜変わらぬ愛を▶映画ベ●ブ 羊たちを手懐けるおまじない
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ゆあ - すみません。いくら探してもツイッターのアカウントが見つけられないんです。どうやって探せばいいんですか？ (2019年9月5日 21時) (
レス) id: b0f6bda559 (このIDを非表示/違反報告)
有栖(プロフ) - めっさ面白い！続きが見たいいぃぃぃぃ!!!!! (2018年9月9日 0時) (レス) id: e65e94b2de (このIDを非表示/違反報告)
小幸(プロフ) - 面白かったです！これからも頑張ってください！！リアルの方でも頑張って！！ (2018年5月18日 2時) (レス) id: 4d03ac968f (このIDを非表示/違反報告)
白ちゃん - 作者様愛してます！この話大好きです！更新頑張ってください！ (2018年5月4日 21時) (レス) id: a5c2574b45 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ておどーる | 作成日時：2018年4月7日 0時
