28 猫を追う[5]＊修正 ページ33
「アンタ、名前なんて言うんだ」
「んー・・・」
見ず知らずの女に初対面からアンタ呼びな大胆不敵なお前こそったい何者なんだろう。
と目の前でチェシャを満足げに撫でている彼に思わない訳でもなかった。
礼節を重んじない人は嫌いだ。例えば入学初日に胸ぐらを掴む奴とか。
とはいえ今回は猫好きのよしみ、多めに見て先に名乗ることにした。
「一年のA・トエテシュレーガだよ、好きに呼んで」
で、アンタは。
といった視線をなんとなしに向ける。
覗き込むように隈の酷い目を見据えれば、少し驚いたようで猫背の上半身が跳ねた。
「・・・心操人使、同じ一年だよ」
「んじゃ心操くんて呼ぶ」
「ああ」
よろしく、と手を差し出せば握り返してくれる。
ヒーロー科のガタイのいい人達としかここに来て握手なんてしていないからか、手から伝わる筋肉の感じに少し違和感が残る。
タッパはあるけれど鍛えてはいない、B組の生徒かとも思ったが違うみたいだ。
そんな事を心操も思って居たのだろうか、少し考えるように首に手を当ててから彼は真っ直ぐこっちを見て問うた。
「普通科じゃあそんな目立つ白、見た事ない。アンタは別の科か？」
「うん」
スッと心操の手が伸びて髪をひと房すくい取る。
出久とは違う、大胆な男だなと弄ばれている髪を呆然と見ていた。
「何科だ？」
視界に心操の顔が写り込む。
気だるそうなカオだ。なのに真っ直ぐこちらを見据える目だけは何故だか真剣だ。
真剣というか、何だろう、何かを期待されているような目だ。懇願に近いかもしれない。
「・・・A組だよ」
何となくヒーロー科というのが躊躇われて、あえて組で伝えた。
そんなのただの悪あがきなのだけれど。
そっと心操顔を窺えば、どこか落胆したような顔をしていた。
「・・・は、襲撃事件で重傷を負った生徒ってもしかしてお前か」
「恥ずかしながら」
言葉に棘が生える。触れたら痛そうだ。
突然どうしたんだよ、そんな恨めしそうな顔をして。
無論、余計な怪我は追いたくないから口には出さないけれど。
「なあ、」
「なあに」
何故そんな低い声で唸るんだ。
私がヒーロー科なのが気に障ったのだろうか、ならば何故。
まあ別に気に入られようとも思ってないからどうでもいいか、と心操の膝に乗るチェシャに手を伸ばした。
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ゆあ - すみません。いくら探してもツイッターのアカウントが見つけられないんです。どうやって探せばいいんですか？ (2019年9月5日 21時) (
レス) id: b0f6bda559 (このIDを非表示/違反報告)
有栖(プロフ) - めっさ面白い！続きが見たいいぃぃぃぃ!!!!! (2018年9月9日 0時) (レス) id: e65e94b2de (このIDを非表示/違反報告)
小幸(プロフ) - 面白かったです！これからも頑張ってください！！リアルの方でも頑張って！！ (2018年5月18日 2時) (レス) id: 4d03ac968f (このIDを非表示/違反報告)
白ちゃん - 作者様愛してます！この話大好きです！更新頑張ってください！ (2018年5月4日 21時) (レス) id: a5c2574b45 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ておどーる | 作成日時：2018年4月7日 0時
