26 猫を追う[3] ページ31
４時限目終了のチャイムが鳴り響き、教室内、そして学校中が一気に賑やかになる。
座学から解放された生徒たちが軍の行進の様に食堂へ向かう中、閑散とした教室に残って携帯を眺める生徒が一人。
「襲撃事件ねぇ・・・」
プロヒーローでもある教師２名が重傷、生徒は１名を残してほぼ無傷。
続報として今さっき入ってきたニュースによれば、その重傷を負った生徒も無事退院したとこのとだった。
入学早々忙しないな、と肺の底に溜まる黒い煙を吐き出す様に深くゆっくりとため息をついた。
雄英高校ヒーロー科。
そこに入れば将来は約束されているも同然、ヒーローの金の卵の巣窟だ。
次々と高い壁を用意された挙句に敵の襲撃を受けたヒーロー科A組。
捻くれた見方をすれば、彼らはヒーローとして大事に大事に育てられているのだ。
脅威が、受難が、その卵を孵化させるための最高の環境なのだから。
チッ、と思わず舌打ちが漏れて携帯を握る力を強める。
一刻も早く、雄英体育祭が訪れるのを願うばかりだ。
その結果によっては、その受難を受けられる様になるのだから。
燻る思考を一旦切り上げて、少年は席から立ち上がる。
食堂はひどく混んでいるだろうから、適当にパンでも買ってこようかと購買へ向かう。
食堂と購買は反対の方向にある。
人混みから逃れる様に、自分の足音だけが響く廊下を歩いているとシャッシャ、と布が何かに擦れる音が聞こえた。
生徒か先生でも近くにいるんだろう、と深くは考えずに購買へと足を進める。
丁度廊下が十字に交差している所に出たとき、目の前を猫が通り過ぎた。
黒猫ではない。
「――――赤い、猫？」
ワインの樽にでも入れられた様な、血を浴びで酸化した様な、そんな色の猫が首に風呂敷を巻きつけて歩いていた。
赤い猫なんているか？
そう疑問が生まれ、次になぜ校舎にいるのか、と不思議に思う。
迷い込んでしまったのだろうか。
いやしかしそれにしては迷いなくどこかへ向かっている。
それに背負っている風呂敷には何かが包まれているのか、こんもりと膨らみを帯びていた。
誰かの飼い猫なのだろうか。
それにしても赤い猫・・・・。
よくと目を凝らして見てみるも、どうやら染められているわけではないらしく驚くべき事に元の色の様だ。
猫を見かけたらとりあえず追いかける。
大抵の猫好きはそうするんじゃなかろうか。
この猫好きな少年もまた、例に漏れずその世にも奇妙な猫の後ろをこっそりと追いかける事にした。
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ゆあ - すみません。いくら探してもツイッターのアカウントが見つけられないんです。どうやって探せばいいんですか？ (2019年9月5日 21時) (
レス) id: b0f6bda559 (このIDを非表示/違反報告)
有栖(プロフ) - めっさ面白い！続きが見たいいぃぃぃぃ!!!!! (2018年9月9日 0時) (レス) id: e65e94b2de (このIDを非表示/違反報告)
小幸(プロフ) - 面白かったです！これからも頑張ってください！！リアルの方でも頑張って！！ (2018年5月18日 2時) (レス) id: 4d03ac968f (このIDを非表示/違反報告)
白ちゃん - 作者様愛してます！この話大好きです！更新頑張ってください！ (2018年5月4日 21時) (レス) id: a5c2574b45 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ておどーる | 作成日時：2018年4月7日 0時
